第180話 箸で食べる?

「あのさ…黒豆が無いんだよね」

(別にいいんだけど…)


『彼女さん』の車で「黒豆」を探す…。

 そもそも店を出た時点で「黒豆」のことは忘れていたのだ。

 手の甲に「まめ」と書いたのに…残念な事である。

「あった♪」

 タッパに30粒の黒豆。

(食い残し?)

「あのね、味噌汁とおにぎりも持ってきた」

(夜食か…望んではいないのだが…)


 黒豆のタッパにラップに包んだ生ネギも一緒に入っていた。

「コレ?」

「味噌汁に入れるの」

(一緒にINなんだ…)


「はい、食べて」

 レンジで温めた、おにぎり

「………」

「箸で食べるの?」

「うん…熱いから…」

 それもある…のだが…

 一口食べたら味がしない…なんだろう、おにぎりというか…ご飯感。


「おにぎり美味しかった?」

「えっ…いや…手料理?」

「そうだよ、握った♪」

「うん…塩が足りないかな…ゴマと…ネギと…ご飯って感じだった」

「嘘? 足りない?」

「うん…あのさ…自分で作ったもの食べたことある?」

「……ない…」


『彼女さん』味見はしない派。


 そもそも、おにぎりの具が生ネギって…初体験だよ。

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