第59話 教えましてん

「桜雪くん…ココのうどん美味いか?」

「いや…正直、どうかと思いますね」

「せやろ…おい!! オマエ、何処でうどん習うたんや?」


 中国でY取締役行きつけの日本食のお店。

 きつねうどん一杯1800円とかの高級店。

 スタッフ全員中国人。


「あかんわ…基礎がなってないね」

「まぁ、アレですよ、中国人が日本の中華料理食ったら同じかもしれませんよ」

「そうか?そんな酷いか?ココのうどんほどやないやろ」


 中国に出張したときの会話である。


 それから数か月。


 会社の電話が鳴る。

「桜雪くん、キミ、来週中国来られへん?」

「何用ですの?」

「ワシ、来週予定ないねん」

「1回帰国したらどうです?」

「えぇねん、桜雪くん出張手配しとくさかい、ほな」


 そんなわけで理由もあやふやなまま中国へ。

「いやぁー、どうしてもな、オマエに伝えとかなアカン思うてね」

「何があったんです?」

「ココやん」

 いつもの日本食の店。

「うどん美味しくなったでー」

「それだけですか?」

「なにや、ワシが1から教えたりましたんや食べてみ」


 うん…普通になった…。

「なっ?美味しいやん」

「そうですね…これのために呼びました?」

「どうしてもオマエに食わしたかったんや」


 出張報告書…どう書けばいいんんだよ。

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