第54話 AVは芸術

「桜雪…AVは芸術なんだ」

「バカなの?」

「オマエ、美術館とか好きでしょ」

「そうだね」

「だから行くでしょ」

「行くね」

「そういうこと、だから俺も、AVのお店に行くの。同じこと」

「同じじゃねぇよ」

「オマエにとって、ピカソ的なアレが、俺にとってはAV女優なわけ」

「僕はピカソに欲情しないが」

「俺もそうなの、ただ美しいものを見たいだけなの」

「あのさ…無理に同じレベルに置かないでいいよ」

「解らないかなー、俺にとっての美術館なんだよ」

「入場料は払わないけどな」

「うん、でも美術品を購入することができるんだ、オマエ買えないだろ?」

「当たり前だ!! 僕の部屋にダリがあったら大騒ぎだぞ」

「そう!! 俺の居間には女優が並んでいるの、凄くない」

「スゴイと思うよ…リビングにAVが並んでいるんでしょ、スゴイと思うよ」

「オマエは…AVとか昔から観ないからな~、良さが解らないんだよ」

「とくに知りたくないが」

「オマエはさ…なんか女に好かれるんだよな、昔から、だからデリヘルとか呼んでもさ、俺とは違う気がする」

「そうか?最近、呼んでもいないけどな」

「俺さ、デリヘル嬢とかの連絡先とか知らないよ、貰ったことないし名刺とか」

「別に営業なんだから、なくてもいいじゃん」

「ちげぇよ、オマエ普通にデートとかするじゃん」

「そういう娘もいたってだけでしょ」

「俺は、そういうことないの!! だからAV観て我慢するの」

「なんだ我慢って?芸術はどうした?」

「芸術ってなに? AV欲しいんだ!!」

「止めてないだろ、行けよ、買えよ、僕を降ろしてからな」

「俺はオマエと買いたいんだ」

「遠慮するよ…マジで」


「嫁さんとしてればいいでしょ」

「いや…嫁さんじゃ…」

「そうだな…失踪したくなっちゃうくらいだもんな」

「まぁそれは嫁さんだけってことじゃないんだ」

「あの壊れた土偶みたいな嫁じゃな…解らなくもないけど…デリヘルでも使えば?」

「だから、オマエみたいに上手く喋れないんだよ俺は」

「別にいいじゃん、キャバクラじゃないんだし…黙って冷凍マグロみたいになってれば」

「嫌なんだよ、それも」

「しらねぇよバカ、AVが芸術なんでしょ、存分に集めたらいいよ」

「AV観ながら、かみさんの足とか撫でるの…なんかスゲーいいの」

「気持ち悪いよ…デリヘル呼べば?おかしいよオマエ」

「絶対、嫌われる…」

「もう…失踪してくれ…消えてくれ…そして僕を帰してくれ…寝てないんだ」


 なんで必死なんだよ…なんかホントに気持ち悪い…。

「じゃあさぁ、俺の行きつけのパワースポット行く?」

行き付けのパワースポットって初めて聞いたよ…その表現。


「もう…帰してくれ…」

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