第52話 それでも…

深夜のホテル。

何も無いだろうと僕1人でフロントと清掃を任された。

とはいえ、ほとんど利用者はいない。

従業員出入り口が開いて、彼女が入ってきた。

カメラを横切る彼女…エレベーターに乗る彼女、部屋に消える彼女…。


忙しければ、カメラなんて観てるヒマはないのだが…。

90分が過ぎて、部屋の清算が行われる。

パソコンの画面が清算済みのマークのまま消えない…退室に変わらない…。

5分が過ぎた。

心がザワつく、何かあったんだろうか…。

10分が過ぎた…思わず受話器を取って部屋に電話する。

何回かのコール…「すいませ~ん、今から出ます~」

聞き慣れた、間延びした鼻声。

少し安心した。

カメラで彼女を見送って…部屋の掃除に向かう。


キチンとまとめられたゴミ・畳まれたタオル。


僕は…何をしているんだろう…惨めだ。

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