第36話 まるかじりするんだね

「元気だった~」

「うん…元気ではないけど…」

「うん、そうだよね…でもさ顔見たかったんだよ」


僕は、彼女の顔を見ることが出来ずにいた。

車を走らせて、前だけ見ていた。

彼女がケーキの箱を持っていたので、ケーキを持ち込んだのは解る。


隣では、コキンッ! ボリボリ…という何かを食べている。

今日はナニを持ってきたのだろう…。

心配だと言いながら、何を食っているのだろう…。

車内に、青臭い臭いが充満してくる。


「きゅうり…あのね…水洗いしたのに、まだしょっぱいの…」

(きゅうり食いながら…一応、心配してくれてんだね…)

でかいきゅうり1本握ってボリボリ丸かじりしている。

(心配…してくれているんだよな…)

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