第27話砂漠の水編①
照りつける太陽。
灼熱の砂漠。
そこを歩き続ける旅人たち。
ひとりの旅人が渇きに耐えきれず、水筒の水を飲もうとする。
それを見た周りの人間が、よってたかってその者から水筒を奪おうとする。
水筒は宙に舞い、砂漠に落ちる。
こぼれた水は一瞬にして砂漠の砂に吸い込まれて消えていく・・・
砂漠の水とはそんなものだ。
旅人たちのほんの気休め。渇きに耐えきれず、水の取り合いになれば、誰のものにもならず消えていく・・・
当時、あるお店に入社してすぐの僕。
「よろしくお願いします。」
「ああ。」
そこの班長にそっけなく挨拶される。
明らかに僕より年下の班長であった。
「君、パチンコ店員経験あるんやろ?」
「はい。前の店である程度の事は知ってます。」
初日、班長にコースに着いてもらったのだが、ものの10分もすれば、
「君、いける。いける。できる。できる。」
と、すぐ一人きりにされた。
入って初日、10分でいきなり一人きり。
なんなんだ?この店は適当だな。
そう思っていた。
数日働いてみた。
やはり班長は初日から一切僕をほったらかし。
僕も自分のやりやすいように、適当にコースを見ていた。
班長はすぐにどこかに行ってしまうし、店のルールや独自のやり方みたいなもんも、
自分で適当に学習した。
しかし、この店に来て、ずっと感じていた事。
・・・・女の子がいない。
男性スタッフばかりなのである。
店長、主任、班長、社員、全て男性スタッフ。
僕と同じ日に入社した者も三名いたが、全員男性スタッフ。
こんな店、見たことない!
とにかく僕は、3ヶ月間ほったらかし。
自分で店のやり方を学んだ。
毎日朝礼、終礼は軍隊のようだし、男だらけでむさ苦しい。
そんなヘンテコな店だった。
女性スタッフを募集していないのか?
それとも規定で男性しか働けない店なのか?
僕が入社して丁度3ヶ月たった頃、この店に異変がおこる。
いや、見た目はいつも通りだが、みんながソワソワしだす。
班長が言ってる事を盗み聞きした。
「もうすぐ、女の子入ってくるんやて!」
ザワザワ。ソワソワ。
そんな雰囲気がお店に漂いだした。
なんか、物凄く、嫌な予感がする。
・・・・そんな店だった。
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