第1197話「海の幽霊」

午後十一時の海。

十本のイチモツを持つ怪異が現れた。

怪異はタコ(一般人が想定するたこ焼きに入っている赤と白の色をした食料品を指す言葉。実は海に棲むぬるぬるの生き物であるが、そうと知る者は少ない)よりもずっと巨大で、似た見た目をしながら、しかし足と思しき十本の棒状のものは極端に可動域が狭い。当然である。それは怪異の男性器だった。海の中、円環状に屹立する巨大な十の男性器はどこか幻想的、かつ魅力的な風景であり、出会った船員はいずれも呆とイチモツを眺めている。船員は不思議と心と身体が熱くなっていることに気付き、そして自らの下半身が敏感に反応していることを理解する。怪異の十のイチモツは、周囲の生物を発情させて正気を失わせ、油断しきったところを捕食するのだ。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で怪異の男性器、その中心を貫くように弾丸を射出した。

怪異は悲痛な叫び声をあげて海底に散った。

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