第1149話「僅かなる安寧」

午前三時の空。

雲が現れた。

天気予報は直感(一般人が想定するクリティカルスターを二十個程度生み出すスキルを指す言葉。近年実装されたキャラクターではクリティカルスターを得るのみならず複合的効果を持つ場合が多く、必然的に過去キャラクターの直感スキルに改修が入るようになっている)よりもずっと適切に天気を示しており、雨の予報通り空には厚く暗い雲がかかっている。男は憂鬱だった。こんな時間に目が覚めたのもそうだが、今日は今期の最終的な業績をまとめる会議だ。維持は衰退に等しい、日頃からそう言っている社長にしてみれば、前期と比較して同程度の業績だった男の部門は相当の指摘を受けるだろう。ただでさえ憂鬱な会議に天候まで重なれば鬱にもなる。大雨で会社が流れればいいのに、と男は考える。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で厚い雲を吹き飛ばした。

晴れ晴れとした気分で男は会社に向かった。

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