第1048話「調理器具を司りし女子高生」
午後十時のフライパン。
錆が現れた。
フライパンは火(一般人が想定する物質の急激な炭化に伴って発生する現象を指す言葉。熱や光の発生と共に様々な物質を生み出す)よりもずっと武器として敵の顔面に接している時間が長かったが、兵器として承認されることはなくフライパンを振るっていた女子高生は諦めてフライパンを手放した。調理室に放置されたフライパンは手入れもされないまま錆びつき、朽ちようとしていた。しかし捨てる女子高生あれば拾う女子高生あり、たまたまやってきた三徳包丁女子高生がフライパンのメンテナンスを行った。フライパンはふわりと浮き上がり、三徳包丁女子高生の背後に陣取る。多くの血を吸ったフライパンは自我を持っていた。フライパンはメンテナンスの丁寧さ、そこに込められた愛を感じ取り、次の主を三徳包丁女子高生と定めたのだ。三徳包丁、シビ切り包丁、血塗られたフライパンを持つ彼女は、調理器具女子高生と化した。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で呼称を三徳包丁女子高生で固定させた。
さすがに調理器具女子高生はどうかと思う。
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