第910話「いいツインテールの日」

午前八時の教室。

髪型をツインテールにした火縄銃女子高生が現れた。

火縄銃女子高生は自分(一般人が想定する己を指す言葉。いつだって失ってはいけない大切なもの)よりもずっと妹を大切にしており、妹にせがまれれば似合わないであろうツインテールで登校することも容易い。とはいえ急な髪型変更に戸惑っている周囲の様子を一度気にしてしまうと、ずっと無視し続けるのもなかなか難しいことだった。ざわつかれているのは、それだけ似合っていないという証拠だろう。鼻血を流していた妹の頼みとはいえ、さすがに登校するのは断るべきだっただろうか。

だがいきなりなりきり女子高生が近づいてきて、とにかく幸せそうなきらきらした目でその髪型すっごく似合ってて可愛いよと伝えた。

なりきり女子高生のファンが増えた。

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