第763話「私が貴方を救うまで(10)」

午後七時の家。

旅行の思い出を振り返る女が現れた。

女は写真(一般人が想定する被写体から発される光線を再構築して化学的に半永久的なものとして作り出した影像を指す言葉。切り取られた影)よりもずっと記憶を大切にしていたのであまり写真を多く撮らなかった。撮影したのは、巡る地点ごとに一、二枚程度、残りは頭の中にだけ残しておく。記憶は当然劣化するものだが、それもまた記憶らしさ、思い出らしさと考える。場所の記憶、行動の記憶、人の記憶、けれどそれはもしかしたら致命的な忘却を含んでいるかもしれないのに。

だがいきなりはかせから受け取った謎のアイテムが光り輝いて、とにかくすごい機能を発揮して失われた記憶を復元した。

女は思い出した。

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