第617話「半魚人なんているわけねえだろ」

午前五時の池。

上半身が池に刺さったまま凍りついている脚が現れた。

通行人は悪(一般人が想定する一般的でない主張を指す言葉。民意は力であり正義である)よりもずっと善よりの人間だったので、上半身が池に突き刺さったまま凍りついている人間を見たら通報の上助け出すのは当然だった。とはいえさすがに池に上半身が突き刺さっていては呼吸ができないだろうし、おそらく死んでいる。それでも放置はしない通行人のあたたかな心は氷を溶かし、ずるりと池から飛び出してきたのは魚だった。つまり池に刺さって凍っていたのは半魚人だった。通行人は警察に泣きつき、半魚人の遺体は検察へと運ばれる。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で事件の真相を明かした。

死んでいたのは半魚人ではなく地底人だった。

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