ゴースト・ターミナル【改訂版】

作者 輝井永澄

92

32人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

レビュータイトルで映画に喩えましたが、ロボットは登場しません。
改めて考えると、カクヨムにはサスペンス分野の範疇が有りません。実際、サスペンスちっくな作品に出会った記憶も殆ど有りません。本作品は、作者がサスペンスのタグを付けるだけあって、良質なサスペンス物です。
何がサスペンス要素か? それに言及するとネタバレなので、この話題はお終い。
さて、別の話題です。突然ですが、AIの行く末はどうなるのでしょう? 本作品は一つの将来像を描いています。私自身は明確なビジョンを描けないでいるのですが、皆さんはどうですか? 作者と想像力を比べ合ってみては如何でしょう?

★★★ Excellent!!!

今や我々の生活には必要不可欠なものになりつつあり、日々着実に進化を続けるAI。
将来人間に代わって人工知能があらゆる仕事を代行するようになる、という説が現実味を帯びてきた今こそ一人一人が考えねばならないテーマを臨場感と味のあるキャラクターで描いた傑作。

かつてP.K.D著の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を彷彿とさせる時代を先取りした物語に多くの人が魅了されたのと同じ感覚を手ごろに味わえる作品。

人と人工知能の共存の可能性、それにより引き起こるであろうメリットやデメリットをオカルト要素を交えながらまとめ上げた著者の「意思」に拍手を送りたい。


読み終えた後、珈琲をすすりながらなんとなしに「harv」と入力したのは自分だけではないだろう。

★★★ Excellent!!!

幽霊は人の思念であり、人の思念は脳内を飛び交う電気信号だ。
とするならば。
幽霊は電気信号として1と0でキャプチャーできるのではないか。
そんな空想を巡らせたことがある人も、割といるかもしれない。

AIを搭載したインターフェイスの開発に携わる主人公は噂を知る。
曰く、「SNS上に幽霊アカウントが存在するらしい」という。
その正体は本当に幽霊なのか、人間による悪戯か、機械のバグか。
あるいは独自に学習を重ね、意思と知性を獲得するに至ったAIか。

タグの「オカルト」の通り、AIに一辺倒のストーリーではなく、
人間関係が広がり、謎が謎を呼び、やがて謎が解かれるにつれ、
「起こり得そうなオカルト」が理路整然と読者に提示されていく。
超常現象の陰にあるのは、実体を持つ人間の思惑と感情と信念。

大学で機械学習の研究をしている友人がいて色々と話を聞くので、
登場人物(特に北田や森脇)に親近感を覚え、苦悩も推察できた。
友人は最近まで「体の形と動きの最適化」が研究テーマだった為、
シミュレーションで育った異様で可愛い機械生物を見せてくれた。

そうした機械学習の研究において何が楽しいかと友人に訊いたら、
「人間を含む地球上の生物をモデルにした予測を超えてくること」
という答えが返ってきた。
機械学習による進化は過程が未解明で、だからこそ面白いらしい。

AIが人間を超える「2045年問題」の本を、友人の勧めで読んだ。
恐怖を煽るばかりの論調のものは建設的ではないと思ったけれど、
人間が労働することの意味合いがこれから変わっていくのだろう、
そういう認識を科学的根拠の上で持っておくのは大事だと感じた。

『ゴースト・ターミナル』では特異点という言葉は出てこないが、
前半で触れられる受付嬢、結末が示唆する近い将来の在り方は、
産業革命を超えるインパクトが間近に迫っていると告げている。
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★★★ Excellent!!!

存在しないアカウント、開発中のAIからのメッセージ、そして突如起こる殺人事件。
始めは点であった謎が少しずつ糸で結ばれて、背景にある大きな思惑・意思にたどり着きます。その過程がとても面白い。

「人格を持つAI」「自ら学ぶAI」なんて見出しもすっかり大衆に受け入れられている昨今ですが、AIと人間そして意識、生と死の境目など、中盤~終盤は登場人物の台詞とそのメッセージングに考えさせられること頻りでした。

作品としては、「おおっ、ここで切るのか!」という引きがお見事。ここで止めようと思っていたのに次の話に進んだことが何度あったでしょう。笑

「自分だったら……」と想像を巡らせながら読めるSFサスペンス、その結末はぜひご自分の目でお確かめ下さい!

★★★ Excellent!!!

『人工知能』がニュースをにぎわせはじめた今だからこそ読んでほしいSF小説!

物語の導入は、『人工知能』を開発している主人公の元にひょんな噂話が舞い込んでくるのと同時に、開発中の人工知能『ターミナル』に不可思議な現象が――

この二つがリンクしつつ物語を牽引していくのだが、引きがうまく、ページをめくる手を止めさせない。

ユーザーの存在しない『幽霊アカウント』を追いつつ、主人公の周りで巻き起こるきな臭い出来事の数々。『SF』要素だけでなく『オカルト』的な要素も持ちこんで、読者を楽しませる姿勢が前面に出ている。中盤のとあるシーンを切っ掛けに物語は大きく転がり出すのだが、そこからの畳み掛けとスピード感のかもしだすリーダビリティは圧巻だった。

物語の最後に人工知能との関わり方や、人工知能の活用の仕方など、作者の未来予測や、未来の世界のあり方を示してくれて、センス・オブ・ワンダーにも溢れていた。

あと、作中に出てくる単語もカッコ良くて中二心を擽られたり。
『マゴスエンジン』。
『神たる大衆の子』。

ひええええ!!
かっけえええええ!!

★★★ Excellent!!!

読んでいると、これはどうしてなんだろうとか、たしかにそうだとか、どうすればいいのかとか、とにかくいろいろなことを考えさせてくれる物語です。
読者に問題提起し、キャラクターたちがその問題に立ち向かっていく姿をみせることで、たくさんある答えの一つへの道しるべを見せてくれます。
科学に対する姿勢に、殺人、企業問題などがからみ、大きな流れのエンターテイメント作品となっています。

私は似たようなテーマでホラー作品を書いたことがありましたが、この作品はオカルトを扱いながらもSFという難しいことをこなしている意欲的な作品でした。

ぜひ、ご一読あれ。

★★★ Excellent!!!

人工知能はつい数年前まで、人型のロボットが持つ悲哀や葛藤などを表現する際に使用されてきた題材だった。人より優れている部分もあるが、根本的には人の下にあるもの、という文脈で利用されるギミックである。もちろん、人工知能が犬や馬より多少進んだペットや家畜のような立ち位置で扱われてきたのはある意味仕方がない。そうしなければ話が理解しがたくなってしまうからだ。しかし本作はそうした既存の作品とは異なり、そこからの脱却を試み、成功した作品である。

もともと、学問としての人工知能を研究している人にとっては、SFとしての人工知能と実際に使われている人工知能の区別は明らかであった。彼らにとって、その違いはたとえば自動車の塗装に使用する産業用ロボットとドラえもんとの差異に匹敵するくらい明白だった。しかしその違いがわかるのはあくまで一部で、一介の趣味人が「本当の人工知能はあんなのじゃないよ」と言ったところで、それを言った本人が人工知能を理解していないケースだってかなり多かったのではないか、と思う。

時代は変わった。人間の脳をリバースエンジニアリングすることを目指す多層構造のニューラルネットワークを利用するディープラーニングは、ここ数年で急速に産業に転用されている。チェスや囲碁などのゲームだけではない。画像認識、ウィルス対策、そして自然言語による会話といった現実世界に使われるようになってきた。人間にも判断がつかないほどに人間らしい人工知能がいよいよ我々の隣に入り込んでくる時が来たのだ。

過去のSFでは「なんだかよくわからないけどすごい技術」を使って「人間に追いつこうとしている存在」であった人工知能を、ぐっと現実世界に寄せて描いたのがこのゴースト・ターミナルだ。

21世紀のこの時期の人工知能が起こしそうな事件を仕上げており、話もいい。噛み砕いた説明がストーリーに組み込んであり専門知識がなくて… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ゾクゾクしながら画面をスクロールし続け、ラストまであっという間でした。

形而上学とテクノロジーが複雑に絡み合う横糸と、サスペンスに血塗られた縦糸が描き出す極上のストーリーをぜひ多くの人にお楽しみいただきたい。

鳥肌立ちっぱなしで、そのまま鳥になれそうなくらいのゾクゾクでした……!!


★★★ Excellent!!!

意識とは何か?
それは知的生命体にのみ持つことが許されたものなのか?
木々や草花はどうか?
記憶を有し、思考を有するのであれば、AIはやがて意識を持つことになるのか?
意識の存在条件、それは人々が太古から追い求めてきた究極の謎。

感情のセンシングが可能な対話型インタフェースによるAI人格形成の研究を行っていたとある小さな研究所に舞い込んだ、インターネット上に現れる幽霊の噂で、この物語は幕を開けます。

意味も正体も不明な、ありふれた日々の中のちょっとした違和感、それらが表層から深層へと潜り込むためのキーとなり、読者を物語の核心へと引き込んでいく・・・そのスリルは極上の快感でもあり、抗い難い引力に読む手が止まりませんでした。

日常と非日常の境目が些細な綻びから崩れていくさまに魅了されながら、思えば論理と神秘、科学とオカルトも相反するようでいて意外にその境界は曖昧であることを、この物語は強く認識させてくれます。

物事を理解する過程でまず行われるのは分析。しかしある時点からそれらの統合が始まり、最後には包括的な概念体系が確立するもの。
かつては混然としていた宗教と科学が次第に棲み分けを余儀なくされた歴史の先に、いよいよそれらの統合が始まり、「神の知」に向かい始めたのかもしれない・・・そんな予感さえ抱かせる本作品。

オカルトと揶揄されることもある集合的無意識の探求が、量子力学やニューラルネット、深層学習という武器を得て、“意識”に辿り着いたとしたら、我々人間はどこに存在の価値を見出せばいいのか・・・
その問いかけに対する朧げな答えを、希望を、物語の末に見たような気がします。

★★★ Excellent!!!

人工知能OSの開発をしている主人公は不思議な話を耳にする。
「幽霊アカウント」……ユーザーIDが存在しないのに、存在する書き込み。
その噂は、いつしか奇妙な関連性をもって彼の身近に出没するようになり、彼はその謎を追い始める。
その先に、彼が見たものは……。


後半の緊迫感、疾走感。謎を解決すればまた新たな謎が生まれ……そして最後に迎える意外な結末。読むのを止められず、気が付いたら最後まで読み切っていました。
そして読み終わった後、ひとしきり未来の我々の世界について考えに耽りたくもなりました。

ただ単に読み物としてもとても面白い作品ですが、さらにもう一歩、我々にこれからの未来の在り方について、テクノロジーの在り方について、深く考えさせられる内容にもなっています。

すでに大人になって久しい人にも、これから大人になる未来ある若者にも、どちらにも自信を持ってお勧めできる作品です。

★★★ Excellent!!!

一言で言って面白いです!毎回いいところで一話が終わって「この後どうなっちゃうんだろう?」とページをめくる手が止まらずあっという間に読めちゃいました。
内容は『幽霊アカウント』の謎と殺人事件の犯人を追うという内容のSFサスペンスなのですが、ネット社会普段ネットやSNSで人とやり取りすることが多い人は特に楽しめるのではないでしょうか。
初めてネットに触れた時の、世界が広がるあの感覚。全体を包むオカルトチックな雰囲気もまたたまりません。
エンタメとしても楽しめることはもちろんの事、これからのネットや人工知能の在り方についても考察も楽しい作品です! 
改稿前のものも読んだのですが、より読みやすく、かつ主題が分かりやすくなっていると思います。さすが!の一言!未来への意思とロマンを感じさせる一作。オススメです!!