次世代ゲーム機に求められる物

 昔、ユーザーサポートに電話がかかってきて、


「○○○○を買ったんですが、これを遊ぶには何を買えばいいんですか?」


「PC-98シリーズで……」


「それはどのゲームなんですか?」


「PC-98で……」


「だからそれはどこのゲーム屋さんで買えるんですか?」


「いや……、パソコンなんです」


 その人はアニメ原作のファンで、ゲームも遊んでみようと思ってまずソフトを買ったのですね。



 後からハードを買えばいい。ゲーム機なんて2,3万だろうとタカを括っていたのだと思います。


 熱心なファンには違いないですから、親切丁寧にパソコンのソフトで10万円から……というのを恐縮しながら説明したそうです。


 当時はパソとゲーム機の相場はそのくらいでした。



 今はゲーム機といえど5万円越えも珍しくない。反対にパソコン相当の機能を持つ物は格段に安くなっていますね。


 プレイステーション3の頃、メーカーは、


「ユーザーは多少高い金額を払ってでもすごいゲームを遊びたがっているんだ」


 という方針でハード設計、見事に外しました。


 後に大幅な値下げ。


 当時は「初めに高めの価格を提示しておいて、値下げして見せる戦略がセコイ」と叩かれていましたが、


 実際にはかなり断腸の思いだったようです。ハード面では基本赤字です。


 任天堂はその辺りを非常によく分かっていて、次から次へとゲームとして面白い物を送り出していますね。


 SCEはその辺りゲームに参入して新しい。


 次の世代というのは「より高い解像度」「より高性能」にしか重点を置けない。


 ユーザーからしてみれば、次世代がより綺麗な絵、早い速度というのはむしろ当たり前なのです。


 そこに期待も驚きもない。


 それを前面に持ってこられても「だから何なの?」としかならず。


「それでゲームは? 何が面白くなるの?」


 という期待には何も応えられない。


 メモリが2倍、処理速度が5倍になりました。と前面に押し出しても、


 画面解像度が4倍になってリソース(素材)の容量が5倍以上。メモリはむしろ圧迫するようになった。


 性能を十分に発揮するためにはハードウェアに依存した手法でなくてはならず、要するにソフトウェアの開発コストがかかる。


 しかもコストをかけないと汚くて見れた物ではない。


 よりクオリティを上げるためのコストではなく、コストをかけないと必要最低限のクオリティにならない。


 採算が取れない。という悪循環が起きていました。


 なので基本他のゲーム機と互換で発売。結局ハードの性能は活かしきれない。



 PS4 くらいになると、高性能化の方針のコツが分かってきた感がありますが、それでもそれに驚きはない。


 今の盛況はVRの力ですが、今の所衰えはなく、まだまだ続きそうです。

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