第127話 水先人の伝説と「依代」の定め。俺が運命について思うこと。
サモワールからの帰り際、ナタリーがこっそりと話しかけてきた。ジュースの飲み過ぎで頭痛に苛まれているらしく、非常に難しい顔をしていた。
「ミナセさん、ちょっといいスか?」
俺は何もしていないのに、やけにクタクタになった身体を伸ばして答えた。
「ああ、いいよ。どうしたの?」
「さっきの遠征の話なんスけど…………私、やっぱり断ろうと思ってるんス。自警団員としてもまだまだなのに、精鋭隊の人達に混じって自分が何かできるとはとても思えないし。
だから…………よければ、ミナセさんからそう蒼姫様達に伝えておいてくれないっスか? 蒼姫様のお屋敷にわざわざご招待してもらって、「嫌です」っていうのも、なんか気まずいしさ…………」
ナタリーの心細げな眼差しに、俺は頷かないわけにはいかなかった。
正直、俺の方でも彼女の答えには予想がついていた。俺だって、彼女の立場なら断っただろう。フレイアの可愛さに釣られて「勇者」やってるヤツに言われたくはないだろうが、まっとうな神経ならこんな依頼を引き受けたりはしない。
俺は彼女が気に病まないよう、なるべく明るく答えた。
「わかった、伝えておくよ。俺も、君には街を守っていて欲しいし」
ナタリーがホッと胸を撫で下ろす。俺は未だ血の滲む彼女の手や足の傷を見て、付け加えた。
「でも自警団の仕事にしても、あまり無理はしないようにね。肉体をないがしろにし過ぎると、いつかへそ曲げるよ」
「ありがとう。けど実際、こんな傷は大したことないよ。霊体が受ける傷に比べたら、肉体の傷なんて…………」
「だから、比べる必要なんか無いんだ。君が痛がっているのには違いないんだから」
俺の内でタカシが「そうだ、そうだ」と騒ぎ立てる。
ナタリーはまだ何か言いたげだったが、ややしてから、くたびれた顔つきをフッと緩めてくれた。
「…………うん、わかった。ミナセさんも道中、気を付けてね。一緒に屋台に行く約束、楽しみにしているんだから」
「うん」
それからナタリーは、一度駐在所に戻ってから家に帰ると言ってそそくさとサモワールを去って行った。俺は彼女を見送り、リーザロットの元へと戻った。
馬車の中でナタリーの事情を話すと、リーザロットは残念そうに肩をすくめた。(ちなみに、タリスカは車内は窮屈だと言って一足先に帰っていった。あの人はいつも、どこをどう通って帰っていくのだろう…………)
リーザロットは長い髪を耳に掻き上げ、日の傾いた馬車の外を見やった。
「無理もありませんよね。いきなり遠征と言われても、ナタリーさんにも生活があります。街に誰か大切な方がいるのかもしれません。せめてお話だけでもと思いましたが、「三寵姫」から直接頼まれたとなると、実質命令のように感じられてしまうのも当然ですものね」
溜息を吐くリーザロットに、俺は言葉を掛けた。
「まぁ仕方ないよ。ナタリーは今、お父さんの代わりとして早く自警団に馴染もうと必死なんだ。
…………っていうか、むしろ責められるべきはツーちゃんだよ。全くあの大魔導師様は、いくら何でも人の都合を考え無さ過ぎるよ。後であんまり無茶言うなって、キッチリ言っておかなきゃ。…………どうせ聞きゃしないだろうけどさ」
次いで俺は、気になっていたことを話題に出した。
「そうだ。それはそうとして、「
リーザロットはしっとりと俺の方を振り向くと、悩ましげに口元に人差し指を添えて答えた。
「私もあまり詳しくは知らないのですが…………。「水先人」というのは、リリシス以前の時代、まだ「裁きの主」の名も、サンラインも、ジューダムも無かった古の時代に、この世に息づくものを統べていた存在だそうです。数少ない文献によれば、現在の三寵姫の役目を一人で担っていたのだとか」
俺は予想外の話の規模に目を剥き、こぼした。
「マジ?
…………でも、そんなに凄まじいものなら、何で今はあんな適当な感じで野放しになっているんだろう? 普通は三寵姫みたいに、大切に崇め奉られているものなんじゃないのかな?」
リーザロットは深く溜息を吐くと、さらに悲しそうに眉を下げた。
「それは、三寵姫がいるから…………でしょうね。
恐らく、いつの時代かに「水先人」から「三寵姫」へと役割が移ったのだと思います。自然に起こったことなのか、意図的に起こされた変化なのかは知る由もありませんが、それほどに偉大な存在であった「水先人」のことが、現在はほとんどの人に知られていない…………それどころか、ナタリーさん本人すらも知らないでいるのには、それなりの事情があるはずです」
「はぁ…………。それじゃあ、そんな「水先人」が代々引き継いでいるっていう、レヴィは一体何者なんだろう…………?」
「途方もない力を秘めた魂獣なのは確かですが、私には何とも…………。「太母の護手」達の話も含めて、謎に包まれています」
「マジか…………」
俺は同じ呟きを繰り返し、首を捻った。
そんな得体の知れない存在を利用して、ツーちゃんは何を企んでいるのだろう。
それに俺が覚えている限りでは、ナタリーはまだレヴィを完全には使いこなせていなかった。制御しきれない巨大な力を、モヤッとした伝説だけをもとに展開させるなんて、それこそ正気の沙汰ではない。
俺はリーザロットを見、言った。
「いずれにせよ、ツーちゃんには今度こそ、きちんと話を聞かせてもらおう。竜も無事、集まったことだし、今夜にも奪還の具体的な計画を話し合おう」
「ええ、そうね」
リーザロットは蒼い眼差しをひんやりと澄まし、頷いた。
館へ戻ると、グラーゼイが迎えに出てきた。例によって彼は俺には目もくれず、リーザロットの方だけを向いて話した。
「お帰りなさいませ、蒼姫様。すでに琥珀様が戻られております。夜霧の刻に、琥珀様の研究室にて内密のお話があると」
リーザロットはこくりと点頭し、オオカミ男を仰いだ。
「わかりました。ではその時刻に参ります。…………貴方たちも呼ばれているのでしょう?」
「はい。私とフレイアが同席させて頂く予定となっております」
「クラウスは…………いないのね」
「彼は療養中です」
「きっといじけているわね。…………タリスカはどこにいるか、知っていますか?」
「タリスカ殿はすでに琥珀様とおられます。先程庭の方へ出て行かれました」
「ありがとう。それでは、貴方とフレイアは控えの間で時間まで休んでいてください。私とコウ君は、寝室で過ごしていますので」
「!! …………勇者殿と、ですか?」
グラーゼイの視線が錐のごとく尖り、俺を刺し貫く。彼はリーザロットに大きく詰め寄り、低い声で言った。
「蒼姫様。僭越ながら申し上げますが、それは少々、否、大いに慎みを欠いた行為かと存じます。勇者殿には、自室にてお待ちいただくよう納得していただくべきです」
なぜか俺が誘った感じになっているが、リーザロットはそこには触れず、オオカミ男の進言にサラリと返した。
「確かに、はしたないことかもしれません。ですが、貴方達が控えていてくださるのですから、間違いはないでしょう。…………それに、今日は何だかとても疲れてしまったので、一番安らげる場所で、お茶でもしながらゆっくりお休みしたいの。コウ君にもたくさんお世話になりましたから、ぜひご馳走したくて」
オオカミ男のギラついた目が再度俺に向けられる。歯ぎしりさえ聞こえてきそうな苦々しい表情を浮かべて、彼は返事を絞り出した。
「…………承知いたしました。ですが、万が一ただならぬ事態が生じた場合には、即刻我々をお呼びください。…………控えの間におります、私とフレイアを」
俺は当て擦りには動じなかった。どうせヤツがフレイアに何もできないことは、わかりきっている。
俺は彼らの間に図々しく割って入り、言った。
「心配要りませんよ、グラーゼイさん。蒼姫様とは、ほんの少しお話させていただくだけです。何なら、終わるまで扉の外でお待ち頂いていても構いませんよ。…………もしお暇でしたら」
「…………」
逆立つ銀の毛が、恐ろしいやら可笑しいやら。グラーゼイは一転して、害虫でも見るような冷たい目つきになると、引き下がって厳かに言った。
「結構です。差し出がましい真似をいたしまして、誠に申し訳ございませんでした。…………それでは失礼いたします」
グラーゼイは馬鹿丁寧に礼をすると、見せつけるような重々しい足取りで去っていった。
ちょっとやり過ぎたか? いや、だがこの程度でへこむヤツではない。どうせまた夜に顔を合わせた時には、手痛い嫌味の一発もかましてくるだろう。
と、荒んだ心持ちの俺の手を、ひんやりとした滑らかな手が包んだ。
「! リズ?」
どぎまぎして俺が尋ねると、リーザロットはやや上目遣いに、どこか甘えるような調子で言った。
「ごめんなさい、勝手に予定を決めてしまって。あの…………よろしければ、一緒に来てもらえますか?」
俺は唖然としつつ、答えた。
「あ、ああ。いいよ、もちろん…………。な、何か話したいことがあったんだよね? それなら全然、構わない。それより急にどうしたの? この手は…………」
「貴方の傍にいたいの」
「え、と…………。繋がなくても、どこにも行かないけど…………」
「繋がせてほしいの」
「どうして」と聞くには、俺は緊張し過ぎていた。もちろん全く迷惑ではないが、あまりに急で戸惑ってしまう。彼女がこういうことをナチュラルにする子だって知らなかったなら、俺に気があるのだと勘違いしていただろう。
俺は振りほどくわけにもいかず、仕方無しに手を繋いだまま彼女の部屋まで歩いた。リーザロットの桜色の頬と唇を見ていると、人でない何か尊いものを連れて歩いているような、不思議な心地になる。
彼女は何気ないことを話しながら、時々、繋いだ手をきゅっと強く握った。
部屋に着いた後、彼女は人形にお茶を用意させた。いつぞやのミント味の青いお茶で、俺は今やすっかりこの色に抵抗を失くしていた。むしろちょっと美味しそうにみえる。
俺は勧められるがままに、リーザロットと並んでベッドの上に腰を下ろし、早速話を聞いた。
「それで、話したいことって?」
リーザロットはティーカップをサイドテーブルに置き、肩を落とした。
「実は、西方区領主のコンスタンティン様のことなんです。交渉の後、ちょっとだけお話を伺ったのですが…………」
俺とナタリーが話していた間のことだろうか。俺は思い詰めた表情のリーザロットに、柔らかく尋ねた。
「何か嫌味でも言われた? それとも、また変態だった?」
「…………また?」
「ああいや、何でもない。で、どんな話を聞いたの?」
リーザロットは萎れた朝顔のように俯き、ポツリとこぼした。
「…………「
「ヨリシロ? って言うと、あの裁きの主の「依代」? 三寵姫の手助けをするとかっていう…………」
「そうです。よくご存知ですね。前にお話したことがありましたか?」
「いや、実はちょくちょく話には聞いているんだ。三寵姫にとって大切な存在なんだって」
「そうなのでしたか…………。確かに、コウ君の言う通りです、三寵姫にとって、「依代」はとても重い存在です。
「依代」を定めて、裁きの主との謁見を行う。それが習わしとなっているの」
「謁見っていうのは、何をする儀式なの?」
「裁きの主にお目見えするんです。主と初めて共力場を編むの。私は…………それが、まだで」
「共力場って…………」
俺は呪いの力場で見たあの巨大な存在を頭によぎらせ、身を震わせた。こう言っては不敬に違いないが、正直ゾッとしてしまう。
俺はあの力場で、「母なるもの」…………「裁きの主」と比肩する、「赦しの母」と呼ばれる存在を扉の力で招いてしまったけれど、その強大な力の奔流には、ツーちゃんの力も借りて、全力で耐えるよりなかった。あんな途方もない存在と共力場を編むなんて…………。
リーザロットは俺の不安を読み取ってか、なだめるような調子で話を継いだ。
「謁見は、三寵姫にとっての一つの大きな転機です。定めの矢によって選ばれた姫は、謁見を通して初めて、本物の「三寵姫」となります。本物の…………人柱に」
人柱という呼び方にも、俺は強い拒否感を覚えた。彼女の口からそんな言葉を聞くのは、今となってはすごく耐え難い。そんな風に生きて欲しくないと叫んでやりたくなった。
俺が会いたい「リーザロット」を、「蒼の主」じゃない、あの普通の女の子を、これ以上俺から遠ざけないで欲しかった。
「コウ君?」
リーザロットが蒼い瞳を伏せがちにして俺を見る。俺は彼女を見つめ返し、口を開きかけた。
だが、結局思う言葉は出てきやしなかった。
「どうしたの、コウ君?」
「ううん…………。何でもない。話の続きを聞かせて」
リーザロットは首を傾けながらも、話を紡いだ。
「簡単にお話しますと、謁見に当たって、「依代」を介することで各段に主との共力場が編みやすくなるんです。「依代」は人…………それも、私と深い繋がりを持った方となりますから、これは自然なことです。ただ、その分「依代」には多大な負担がかかります。「裁きの主」の最も近くにある人の身として、常に巨大な魔力に晒され、信仰を試されるのですから。
そうした危険を
…………あるいは、時間をかければ、叶わないこともないのでしょう。けれど、サンラインが未曾有の危機に瀕している今、私の都合で悠長なことを言っているわけにはいきません…………」
リーザロットは唇を噛み締め、続けた。
「…………コンスタンティン様はそんな私に、「依代」を引き受けたいと言ってくださいました」
俺は飲みかけのお茶を膝に置き、リーザロットの横顔を見つめた。
長い睫毛の掛かる蒼の瞳に、彼女の白い手だけがひんやりと映っている。桜色の頬と唇は相変わらず淡く、長い髪を掛けている小さな耳が雪細工のように儚げだった。
俺は彼女に、何気ない調子を装って話しかけた。
「そうだったんだ。あの人、本当に君に親切だね。何が狙いなんだろう? 君のことがす、好きなのかな?」
リーザロットは俺の下手な茶化しにも一切動じることなく、淡泊に答えた。
「「依代」になること。それ自体が彼の目的なのでしょう。…………依代となると、国政に関して、実質上三寵姫と同等の発言権を得るのに加え、教会に対しても強い影響力を持つようになります。
コンスタンティン様は、先代の蒼姫様と共に彼のお父様が失ったものを取り戻そうと…………いえ、それ以上のものを手に入れようとなさっているのではないでしょうか」
「…………」
お茶の水面に、機械のように固まった俺の俯き顔が映り込んでいる。
なぁタカシ。
お前はどう思う? お前なら、彼女に何と言う?
鏡写しに返ってくる答えは沈黙ばかり。
俺は諦めて顔を上げ、リーザロットに尋ねた。
「…………ううん。それで…………どうするつもりなの? リズは」
「気持ちの問題もありますから、ゆっくり考えてと仰っていただきました。依代と姫には、何よりも心の繋がりが必要だから、と」
「いや、アイツの言ったことじゃなくて…………君の気持ちを聞かせてほしいんだけど」
リーザロットは小さく首を横に振り、零した。
「…………わかりません」
「わからないの?」
「自分の気持ちがまだ整理できていないんです。蒼の主としては、ぜひお願いすべきなのでしょう。琥珀も言っていましたが、コンスタンティン様は口は悪くとも、物事への配慮が行き届いた方です。決して軽い気持ちでの申し出ではないと、あの方の瞳は語っていました。
ですが…………私は」
リーザロットがゆっくりと顔をもたげ、俺を見つめる。彼女の瞳の蒼玉色は、今にも砕けそうなぐらいに弱々しく、危なっかしく揺らめいていた。
俺が目を逸らせないでいるうちに、リーザロットは俺の胸に額を預け、続けた。
「覚悟を決められないんです。それが弱さなのは確かなのに、どうしても決断をためらってしまう。…………甘えたくなってしまう。…………私…………」
俺は誘われるように――――それはちょうど、トレンデで彼女に触れた時と同じように――――リーザロットの手に触れた。華奢で、俺の手でさえ簡単に包み込めてしまう、小さな手だ。
魔法のせいなのか。
扉のせいなのか。
何か抗えない力が、俺と彼女の間に働いている。
彼女がいじましく顔を上げた。
俺は彼女の、夜空か、外洋のような深い蒼に魅入っていた。
言葉は自然に流れ出た。
「ねぇ、リズ。君は…………「蒼の主」だ。…………でも、「リーザロット」でもある。本当に心の繋がりってやつが大事なら、「リーザロット」の気持ちは無視していいことじゃないよ。素直になれだなんて、俺が簡単に言っていいことじゃないだろうけど…………俺は、それでもあえて伝えたい。
…………俺は「リーザロット」…………リズに会えて嬉しい。ずっと、また、君の声が聞きたかったんだ」
リーザロットが少し目を細めると、蒼玉色からポロリと宝石のような雫がこぼれ落ちて、シーツに染みを付けた。押し殺された嗚咽がかえって胸に刺さった。俺は涙を拭ってやりたい気持ちを抑え、彼女が廊下で俺にそうしていたように、少しだけ強く手を握った。絡み返してくる彼女の指は、氷みたいに冷たかった。
俺達はそのまま、しばらくは何も言わずにいた。
俺はようやく会えた人と、離れたくなかった。痛いのに心地良く、空虚なのに満たされているこの時間に、いつまでも浸っていたかった。
彼女も俺と同じでいて欲しかった。
…………心が読まれていたら困る。いや、いっそ構わないのかな。
俺は絹のようなリーザロットの黒い髪と、陶器のような白い肌と、波となって揺らぐ蒼い瞳とをじっと眺めながら、静かに時を過ごした。
リーザロットは一度、あどけなく瞬きをすると、落ち着いた声で言った。
「ありがとう、コウ君。…………もう大丈夫です。胸の内でザワザワとしていたものが、鎮まってきました」
リーザロットはやや疲れた微笑みを浮かべ、身体を離した。
「迷惑かけてごめんなさい。貴方の言う通り、もう少しきちんと考えてみることにします。貴方が気遣ってくれるのが嬉しくて、元気が出てきました」
「…………良かった」
俺は手を引き、一息吐いた。
名残惜しい気持ちには黙って蓋をしよう。
俺は調子を一転させて、さっくりと言い継いだ。
「まぁ、無理に急いでも、状況が良くなるとは限らないしね。何より…………「
リーザロットは袖口で涙を拭うと、明るく笑った。
「はい、勇者様。…………とても心強いです」
「…………へへ」
俺は照れ隠しに冷めきったお茶に口を付けた。一瞬、鼻の下を伸ばしたタカシが水面に映った気がしたが、キモイのですぐに飲み干した。
いやいや、ここはやはり、ビシッと決めたい。
「リズ」
俺がティーカップを置いて改めて向き合うと、リーザロットはつられてスッと背筋を伸ばした。好奇心で輝く彼女の蒼い瞳は、もう十分な瑞々しさを取り戻していた。
俺は精一杯に凛々しく、伝えた。
「一緒に戦おう。最後まで」
リーザロットは姫らしく、彼女らしく、涼やかに答えた。
「はい。主と、蒼の魂に、誓って」
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