第二十話 WORKMAN、HELPMANと相対する
其の一
冬を越え芽吹いた若芽の香りが風に乗り香る4月。新たなる命の胎動に幸せを感じる季節ではあるが、この日の教会にはそんな季節感とは無縁の客が訪れていた。黒の濃いドレスに身を包んだ妙年のダークエルフの女性は、再建された聖堂を避け右手にある小さな扉へと向かって行く。その先は懺悔室。己の隠しきれぬ罪を告白する場所、あるいは、尽きせぬ恨みを告白する場所である。
「私は山の手に居を構えますギラディスの妻、イザベラと申します。5年前に越して来たばかりの上あまり外に出歩かぬ性分、祭事祭礼にも顔を出さぬ故神父様もあまりご存知ないとは思われますが。
そんな私どもにも、今年で11になる娘がおります。名前はティナ。宝物のように大切な娘ですが、私どもも多忙の身、身辺の世話は口入屋から紹介されたレックという若者に任せておりました。しかしそれがいけなかった。数日前、奴は娘と共に屋敷から姿を消しました。まずもって誘拐と見て間違いないでしょう。身代金の要求は未だありませんが、娘が今どこであの男に何をされているかと思うと…
私を哀れと思うのならどうかお願いします。あの男を殺して、娘を取り返してくださいませんか?」
イザベラと名乗る女性はそのまま大銀貨を一枚残し、懺悔室を後にする。神父は珍しく、まんじりとしない表情を浮かべていた。
「そいつァちいとばかり、俺らの『仕事』たァ毛色が違うんじゃねえかな?」
そして、その夜招集をかけられたWORKMAN達もまた皆一様に、神父から話を聞きまんじりとしない表情を浮かべていた。
「大体誘拐事件っつーんなら、まず州衛士に掛け合うのが筋ってもんじゃねェのか?」
「………頼りにならないからでは?」
「うるせえ、否定しきれねェ事言うな。」
リュキアの指摘に、マシューは自分を棚上げして恥ずかしそうに頭を掻いた。しかし彼の疑問も尤もである。下手に公僕に知られたことがバレれば娘の命が危ない、と考えたともしれないが、それでも解せぬことはまだある。
「それにいくら誘拐犯といえど、一足飛びに『殺してくれ』とは穏やかではないのう。母親の気持ちもわからんではないが、まだ身代金をせしめられたり何をされたわけでもあるまいに。」
「そもそも犯人がどういう意図で誘拐に及んだのかもさっぱりだ。そのレックって男が重度のロリコン野郎だってんなら筋は通るが。」
「だからこそ私も皆さんに情報を仰ぎたかったのですが…やはりわからず仕舞いですか。」
神父も額面通りに依頼を受けるつもりはなかったのだが、内容が内容だ。気になるといえば気になる話、それ故に今夜仲間を集めたのだが、実になる情報は得られなかった。
「そもそもそのギラディスって旦那もいまいち謎の多い男でな。特に働いたり下職を雇ってる雰囲気も無いのに、ふと街に出ては質のいい金細工をばら撒いて金にしてるらしいんだ。あんまり顔出してないから詳しくは知らないが、職人ギルドの間でも度々問題になってるらしいぜ?」
「それどころかあの屋敷の旦那に子供がいたってェのが先ずもって初耳だ。」
それどころかギリィとマシューが語ることには、頼み人の一家そのものも随分と謎めいているようだ。山の手に居を構えるのだから金は持っているということなのだが、その金の出所が皆目見当もつかないという。あまりの胡散臭さに、神父もこの話は無かったことにしようと言おうとした、その瞬間である。
「まあしかしだ、人攫いとなりゃ黙って見過ごすわけにゃいかねェな!」
突然、マシューが柄にもない殊勝なことを言い出した。
「しかも幼ねェ女の子となりゃ猶更だ!おうカーヤ、お前ェのツテで犯人の居場所とか探しといてくれねえか?俺も手伝いてェのは山々だが、最近身元不明の死体がわんさか出て来て処分に手ェ取られちまってるから。」
「うむ、頼まれた。」
そうはきはきとした返事をすると、カーヤはマシューに向かって平手を差し出した。
「…おう、なんだその手は?」
「依頼料じゃ。元締めが裏の『仕事』として受理しとらぬのだからこれは表仕事の管轄じゃろう?ならきっちり儂に依頼料を払うのが筋というものじゃ。」
「お、お前なァ、そんな小ズルいこと言ってる場合じゃ―――」
「どうせおぬしのことじゃ、あわよくばコレを表の手柄にして点数稼ぎしたいという助平心でもあるのじゃろうて。」
ぐうの音も出ないほどに図星であった。そしてどちらが本当に小ズルいかは明白であった。春の暖かさを湛えた夜であるにもかかわらず、仲間たちの冷たい視線がマシューを震わせる。空気に耐え切れず、マシューは財布を取り出し小銭をカーヤの掌の上に乗せた。そしてこの夜の会合はおひらきとなるのだった。
「まったく、いつの間にか図太くなりやがって…」
「皆のご指導ご鞭撻のおかげじゃよ。」
かくして大役を任されたカーヤではあったが、その顛末は拍子抜けするほどにあっさりと片が付いた。野良猫たちは日も跨がぬうちにリッドの潜伏場所を見つけたのだ。
「何と、もう仕事をこなすとは流石はゴロ!何?褒められるほど難しいことはしとらんと?謙遜というわけでもなさそうじゃが、まあよい、案内いたせ。」
でっぷりとした銅鑼猫の後ろを、狐耳の少女がひょこひょこと付いて歩く。ある種微笑ましいその光景を、近場に住むギリィは店の窓から目撃した。
「おう、どうしたカーヤ。まさかもう例の誘拐犯を見つけたりしたのか?」
「おお、そのまさかということらしいんじゃ。儂らに頼みに来るような案件がこうも簡単に片付くとは、にわかには信じがたいがの。」
「何だったら、俺もついて行ってやろうか?どうせ暇だしよ。」
「何じゃ表仕事にクソ真面目なお前らしからぬ物言いだのう。」
「俺だって気にはなってる事だしな。頼み人も怪しい輩だ、何か裏があった時にお前ひとりじゃどうにもならねえだろ?」
「では、お言葉に甘えるかのう。」
そう言うとギリィは、首に巻いていた手拭いを放り捨て薄い作業着のまま少女と共に猫の後ろをついて歩くのだった。
「案内ご苦労だったのゴロ。なるほどここが誘拐犯の潜伏場所か…って随分近場じゃな!?」
野良猫を見送ったカーヤは思わず叫んだ。住処の下町から歩いて10分の草原の真ん中に鎮座まします掘っ立て小屋。特に背の高い草も茂ってはおらず遠目からでもよく見える。こんな目立つところに、件の誘拐犯がいるというのだから訝しまないはずもない。
「こんなところなら儂らに頼まんでも州衛士、いや自分たちの足で見つけられるだろうに…」
「頼み人の意図を詮索してもしょうがねえ。とりあえず様子をうかがってみようぜ。」
高い草は無いとはいえ、女児とハーフリング程度の背丈ならば隠れるほどの茂みはある。ふたりは身をかがめながら小屋に近づく。幸いふたりとも目はいいほうなので、向こうからは勘取られない程度の距離から、小さな窓を通して中を覗き見ることができた。
そこにいたのは確かにダークエルフの少女と人間の男のふたりだけ。銀髪の愛くるしい少女は口がきけないのか、手話めいた手振りで男とコミュニケーションをとっており、男もそれに応えるかのように丁寧なリアクションを返している。その和気藹々とした光景は、とでもではないが誘拐犯と人質という間柄には見えなかった。伝聞と大きくかけ離れたその様子に、カーヤたちも困惑の色を隠せない。
「随分と聞いた話とは違うようじゃがのう…」
「まさかとは思うがよ、いやまあこれはこれであまり気持ちの良い話でもねえんだけどな、その、これって誘拐じゃなくて―――」
「―――何者だ、お前達。」
突如、二人を背後から呼び止める声がした。それは地の底から響くような重低音、あるいは「死」という概念が音声と化したらこのようなものになるだろうと連想させる声。ギリィが振り向くと同時に、思わず裏道具の「意志ある金属」を長針に変え身構えてしまうのも已む無きことであろう。
その振り向いた先、彼らの背後間近に立っていたのは全身を鱗で覆われた大男。蜥蜴の獣人―――リザードマンという種族か。何も身に付けぬ上半身に刻まれた古傷は、彼が只者でないことを物語る。実際、その巨体でありながら、警戒心に優れる筈のWORKMANの背後をこうも容易く取ったのだ。確実に堅気の者ではない、しかも達人と呼べるレベルの者だろう。
「いや、聞かずとも
リザードマンは勝手に話を進めながら、その殺気を目下の小人ふたりに向ける。カーヤはそれに当てられ、既に腰を抜かして失禁していた。逃げることもままならない仲間、ならば置いて一人で逃げるか、それとも襲撃者を追い返すか?この時ギリィが選択したのは後者であった。仲間をおもんばかったというわけではなく、あっさりと己の背後を取ったこの男へのリベンジにいきり立っていたというところが大きかろう。
ばっ、っとギリィが跳んだ。己の身の丈の三倍はあろうかという大男の頭部を目掛けての跳躍。しかしこのような真正面からの襲撃、手練れめいた大男に反応で気にはずもなかった。そのままはたき落そうと、その丸太のような腕を振り下ろす。
しかし身軽なギリィはこのパンチを読み、自分目掛けて飛んできた槌のような拳にタッチ、それを起点に前宙しさらなる飛翔から背後へ回る。狙いは無防備な後頭部。自由落下に合わせ大男の首筋に長針を突きたてた。
(手ごたえが――――無い!?)
いつもならば延髄に針を差し込み、そのまま脳を貫くギリィの必勝パターン。それが破られた。固い鱗とその下に纏う強靭な筋肉が、そもそも針の侵入を許さなかったのだ。その事実に慌てながらもくるりと回って着地するギリィ。大男は、まるで何かあったのか?と言わんばかりに首をコキコキと鳴らしながら、ゆっくりと体をギリィのほうに向ける。
(ちっ!筋肉お化けがよ!だが、腕力ならこっちだって負けねえ!)
ギリィは右腕にぐっと力を込めた。長袖の下では青筋が浮き上がりみちみちと音を立てる。超重量の腕輪をはめて日常を送ることで得たハーフリングらしからぬ右腕の筋力。ギリィのもう一つの裏技だ。再び跳躍、蜥蜴の頭目掛けて弓を引くように右の拳を振りかぶる。対し大男はこれを左の掌を差し出し止めようと構えた。思惑通りの行動にギリィは必勝の意を得た。
(まんまと小男の破れかぶれの行動と侮ったな!このまま左手をぶち抜いてその顔面に一発くれてやるっ!!)
ギリィの右拳が飛んだ。まずは大男の左掌に当たり、ばしぃっ、と重々しい音が草原に響いた。
しかし、それだけだった。ギリィの拳はそこで止められてしまった。
背筋が凍り付くような感覚が走る。と同時にギリィは悟った。この男に侮りの気持ちは無かったことに。ただ、彼の持つ絶大なパワーの前には、ギリィの右腕も一般的なハーフリングの細腕も誤差の範疇でしかない、そういうことだったのだ。
そして大男は左掌を閉じ、ギリィの右拳を包み込むように握りつぶす。ばきばきっ、と裏仕事はおろか表仕事にも支障が出そうな嫌な音が鳴る。そしてギリィがその苦痛に叫ぶ間もなく、子供が襤褸切れ人形を扱うかのように乱暴に振り回し、投げ捨てた。体格差もあり数十メートルは投げ飛ばされる。しかしギリィもなんとか意識を保ち、受け身を取り着地。だからといって事態は好転するわけもなく、むしろ武器を完全に失うかつてないピンチ。大男は無慈悲にギリィにとどめを刺すべく接近した。
がくんっ
と、突然大男の膝が抜けたかのようにその足が止まる。九死に一生を得たギリィと、なんとか意識を取り戻したカーヤが何事かと辺りを見回すと、そこには見知った顔のダークエルフの修道女の姿。リュキアが黒糸を大男の足首に放ち、巻き付けたのだ。いかな力持ちとて不安定な走行中に足に何かが絡まればバランスを崩すもの。むしろこれでも転ぶことのない大男の技量に驚くところだ。
「リュキア!?どうしてここに!?」
「………用事の帰り。ばったり見かけたから介入したけど、これ何?」
「んなもん俺が知りてえよ!いててて…」
「ふん、新手か。だがこのようなもので我を、そして二人の門出を止められると思うな。」
大男は虚空に向かって蹴りを放った。糸の巻き付いた右足で、空を裂くような上段回し蹴り。その円運動のエネルギーは黒糸を伝わり、その持ち主リュキアの身体を弄ぶ。さっきまで自分が引っ張っていた糸に引っ張られ、ぐるりと横薙ぎに振り回される。その円周上には岩、このままいけば全身をこの岩に叩きつけられることになる。
リュキアは動きづらい修道服だてらに足を出し、岩を蹴って横っ飛びし受け身を取った。死という最悪の事態は避けられたが、それでも代償がまるでなかったわけでもない。無理な蹴りで足を捻った痛みが、普段無表情な彼女に顔に苦痛の色を指した。
―――強い、強すぎる。
日がまだ上っているうちにも関わらず、WORKMAN二人が裏の「仕事」の道具を白昼に晒した。それでもこの大男には傷一つつけられていないのだ。それどころか手傷を負い絶体絶命の危機。一歩一歩にじり寄る大男に、三人は死を覚悟した。
「たっ、助けてくれぇ!」
突然、命の危機に助けを求める情けない声が草原に響いた。しかしそれを発したのは今まさに止めを刺されようとしているWORKMANたちではない。むしろ彼らも何事かと目を丸くしている。辺りを見れば掘っ立て小屋のほうに人影と慌ただしい雰囲気。草原に佇む4人は察した。小屋の中にいるレックという男が何者かに襲撃され助けを求めたのだと。
「成程、お前たちは陽動だったということか。」
そう言い残すと大男は踵を返し、弾丸のような勢いで小屋へと向かって行った。WORKMANたちも何事かと気にかかったものの、何よりも命あっての物種だ。男が戻ってこないうちに、小屋と逆方向に向かって這う這うの体で草原を後にした。
「で、真昼間から何処の誰とも知らねェ蜥蜴野郎に雁首揃えてノされたってことか。情けねェなァオイ。」
「言っとくがな、ありゃマジでバケモンだぞ!?テメエのヘボ剣法じゃ到底敵いっこねえほどにな!」
「言ってろ言ってろ負け犬どもが。」
その夜、すぐに昼間の出来事を報告すべくWORKMANに招集がかけられた。ギリィの右手とリュキアの右足首に巻かれた包帯も痛々しく、カーヤもまだ小便の臭いが取れ切らない。骨に異常はなかったというが、口では煽るマシューも心中穏やかではなかっただろう。
「貴方がた二人を返り討ちにする手練れのリザードマンですか…その筋に心当たりが無いわけでもありませんが。」
ふと、仲間の口喧嘩にも耳を傾けず考え事をしていた神父が口を開いた。
「………その筋、というと?」
「私の知る筋といえばひとつしかないでしょう?恐らくその大男はドラド・ズバルド。かつて裏の世界で名を馳せた殺し屋かと。」
ドラド・ズバルド―――「仕事」の外とはいえ、WORKMANを完膚なきまでに叩きのめした男の名前に皆が反応する。
「金さえ積まれれば赤子でも殺す生粋の暗殺者。一切の暗器を持たず己の身ひとつで多くの不可能といわれた殺しを完遂してきた。王国内の権力者の多くにも、彼の実力を頼みにした者は多いと聞きます。」
「へえ、そんな凄腕だってのに、俺ァ名前も聞いたことがなかったぜ。」
「ベルモンドさんがこの世界に入る前の輝世暦307年に、王都での大臣暗殺に失敗して捕縛されましたから。本来なら死刑が妥当の者、しかしまだ利用価値を見出した件の権力者の尽力により、10年の遠島流刑まで減刑されこの間は活動しておりませんでしたので。」
ぞっとしない話だった。大抵の場合殺し屋の命などクライアントにとっては使い捨て、懇意であったとしてもトカゲのしっぽ切りが常である。それがまだ利用価値があるからと延命を受けるとは、どれだけ代わりのいない実力の持ち主だったのか。同時に、自分たちが叩きのめされるに足る理由もわかり、ギリィとリュキアは諦めにも似た安堵を見せた。
「丁度刑期を終える10年、確かに本土に戻ってきていてもおかしくない時期でしたね。」
「しかしよォ、何でそんなセレブ御用達の高名な暗殺者さまが、ケチな誘拐犯の片棒担いでんだよ?」
「そこが引っ掛かるんですよね。身代金の要求も無いとくれば金の溜めというでもなさそうですし。」
「―――そもそも、これは本当に誘拐事件じゃったのかのう?」
ここにきて、始終無言だったカーヤが口を挟んだ。招集されてからもお喋りな彼女にあるまじきしおらしさで黙りこくっていたが、あるいは事件の真相に関わる違和感を思い出したとなれば、話さざるを得ないだろう。
「奴は言うておった、『二人の門出』と。それに儂らが戦っている隙に小屋にいる二人を狙った別の手勢。ただ娘を救出しにきた相手に対峙しただけとは思えぬ誘拐犯の悲鳴…何かこう、単純な誘拐事件とは程遠い深淵が今回の事件にはあると思うんじゃ。」
そもそもにして不透明な頼み人、被害者加害者とは思えぬレックとティナの様子、それを護るかのように立ち塞がる流刑帰りの凄腕暗殺者、そして第三勢力―――およそ謎だらけとしか言いようがない。さしもの英知を誇る神父もこの状況には頭を捻っても答えらしい答えは出てこなかった。
「うじうじ考えてても仕方ねェ!こういう時ァ本人に直接聞くのが一番手っ取り早ェえだろ!」
陰鬱とした空気を吹き飛ばすように、ぱんっ、と柏手ひとつ叩いてマシューが叫んだ。シュチュエーションこそ先日に似ていたが、彼の顔にあわよくば甘い汁を吸おうという助平心は今回は見られない。むしろ何かもっと別の欲望が渦巻いていた。
「マシューお前、ホントにやんのか!?そのドラドって野郎と!!」
「………私たち二人がかりでも無理だったのに。」
「真正面からやり合うのはお前ェらの裏技の本域じゃねェだろ。じゃあ実力の半分も出せてないも同然だ。そこいくと俺の剣ならいくぶんか真っ向勝負もできる。まあ見てろ、その蜥蜴野郎に一泡吹かせてやらァ。」
マシューは話半分で踵を返し霊安室を出ようとする。背中を向けて見えぬその瞳には、仲間とWORKMANの沽券を傷付けた相手への復讐心、そして何より、まだ見ぬ強者との死闘への渇望が渦巻いていた。
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