第1097話 『フルート協奏曲ニ長調作品283』 ライネッケ

 ライネッケ先生(1824~1910)は、まだ、ベートーベンさんや、シューベルトさんが活躍していた時代に生まれ、アインシュタインさんの特殊相対性理論が発表された1905年をさらに越えて生きていた、まさに、生きた19世紀みたいなかたでありました。


 しかも、晩年に至るまで、創作力が衰えなかったのは、すごい。


 この協奏曲は、1908年に書かれた(書きはじめられた?)、というらしき作品ですから、84歳辺りの作品。


 極めてロマン派の作品ですが、たとえば、シベリウスさま(1865~1957)であれば、1908年といいますと、交響曲第3番が書かれたのが、1907年でありまして、むしろ、シベリウスさまのほうが、見た目、古典的と言えなくもなく(第4番は、グッとモダンになりますが。)、ライネッケ先生が、とりわけ化石みたいだと批判するのは、あまり正当な評価のやり方ではないと思いますが、大量の質の高い作品がありながら、なんとなく、みんなで、無視しているような気もします。


 つまり、これも、作品自体、たいへんに優れた音楽です。


 第1楽章の第2主題なんか、じっつに、じゅわじゅわ。


 第2楽章は、含蓄が深く、また、ロマンチックから、オペラ的なドラマティックな側面も見せていて、第3楽章は、りっぱなフィナーレとなっておりまして、なかなか、テクニカル。やましんには、いささか難しそう。19世紀には、傑作協奏曲が少ないフルートにとっては、やっと、ちょっと、おそまきながら現れた、本格的ロマン派協奏曲というところ。


 もっと、知られて良い作品です。


 聴いているのは、ニコレさまの録音。(フィリップス 412 728-2)


 何度か、演奏会や、ホテルで、目の前に現れていたニコレ先生、気の小さいやましんは、サインのおねだりもできず。(ちょっと、こわそうだった………)


 いつしか、年も過ぎ行き、ほんと、寂しいかぎり。


 


□□□□□□□□  うつ 😢 うつ ◇◇◇◇◇◇◇◇


 


 


 

 

 

 


 

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