第995話 『交響曲第1番 ホ長調』 フランツ・シュミット
最近になって、やっと再評価されつつあるという、フランツ・シュミット先生。(1874~1939)
オーストリアの作曲家さまとされますが、お生まれは、プレスブルク、現在のスロヴァキアの首都、ブラチスラヴァであります。
なかなか、日本語で書かれた、よい参考書が手元に(これ重要!買わなくてよい。専門誌は、昔からお高いです。)ないです。自宅をひっくり返して、やっとみつけたのが、『音楽家409人の肖像画(20世紀)』 ガブリエーレ・ザルメンさま著。長木誠司さま訳。 (昭和63年 音楽之友社)
お師匠さまは、作曲では、ロベルト・フックス(シベリウス先生も、学んだ。)さま、チェロが、ヘルメスベルガーさま、など。
1896年から1911年まで(1914としてる資料もあり)、宮廷歌劇場の団員でチェリストでありましたが、意見の衝突のため、『やめさせられた』。(だれに?)
1925年から27年まで、ウィーン国立音楽院院長。さらに、音楽・演劇専門学校の校長を歴任。
ご本人は、自身を演劇の作曲家として、自認していたようですが、今日名高いのは、ユゴー作の歌劇『ノートルダム』の間奏曲。それから、オラトリオ『七つの封印の書』。
こちらのご本には、こうした、略歴と、チェロを引っ提げた、カッコいいでっかい肖像画が掲載されております。わりと、現代的にすっきりとしたお姿です。
基本的には、後期ロマン派に分類され、ちょっと、保守的ともみられがちらしいですが、時代的には、フィンランドのシベリウス先生とかぶる時期ですし、なにせ、ヨーロッパの中心で活躍したところが大きい。シベ先生は、『クレルヴォ』の初演で、中央出の楽員さんに、リハーサルの最初笑われたんだとか。つまり、いなかもん扱いされたのではないかと。
ウィーンでは、マーラー先生が指揮者としてしばしば活躍し振っていて、(すぐ、オケや、運営側などとけんかして、長居はできなかった。)フランツ・シュミット先生は当時当該オケのチェリストであったわけです。あまり、仲良しではなかったという資料も見ました。
実際のところ、作曲家としては、確かに前衛ではないかもしれないけど、保守的かもしれないが、実は遅れていたわけではない、ひたすら、自分の道を進んでいた、と考えるべきなような気がいたします。
第1番は、それくらいの認識でも、なんとか聴くことができるけれど、第2番になると、あたまから、がっぷりと、かじられることになりますが。まあ、それは、のちほど、ゆっくりとかじられることに。
交響曲は、先輩、ブラームス大先生譲りのテクニック(変奏など)を進化させながら駆使し、同じく4曲残しているようです。
なお、フランスに、フローラン・シュミット先生(1870~1958)がいらっしゃったことに注意。省略すると、区別が付きません。
やましんが、むかし、音楽史のお勉強にと買いました、堀内敬三先生の『音楽史』(昭和22年。昭和47年、第29版。¥500!)には、フローラン・シュミットさまのお名前はあるけど、フランツ・シュミットさまは、どうも、見当たらないです。カットされたかな。
また、やましんの、交響曲『とらのまき』であります、『交響曲読本』(1995年。音楽之友社)では、第4番だけ、取り扱いがあります。
🌷
以前、ちょっと登場したことは、あるのですが、ここは、改めて、交響曲『第1番』からまいります。
かなり、聴くほうも、根性要ります。
と、言いますのも、みな、規模がでかい。非常に、細部にわたって、細工されていて、なかなか、いっぺんに聴くのは、やましんごときには難しい。
一曲、各自CD一枚、という風情であります。
やましんが聴いておりますのは、チェコ発のCDです。(GZ L1 0122-2 034)
第1番のあたまは、どかっと、後期ロマン派プラス古典の香りが、感動的。
なんだか、リヒャルト・シュトラウス先生風味もあるような。
この交響曲は、1896年から、1899年にかけて、書かれたとのことであります。
リヒャシュト先生の『ドン・ファン』が初演されたのは、1889年。
『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』は、1896年。
まあ、ちょうどその時期ですし、多少の影響はあったかもしれないですね。(かなり、似た旋律が出る!)
しかし、第2楽章になると、ぐっと、しぶく、より、個性的になります。
深い森の、霧のなかをさ迷うような。
でも、暗くはなりすぎず、ふと、日のひかりが差すような、ホルンや木管の響きが、じゅわじゅわであります。
たいへん、良いです。
第3楽章。これは、なかなか、簡単には掴めない。軽めに、明るく行くかと思いきや、中間部で、また第2楽章が復活したような感じになり、演奏時間的には、第2楽章と変わらない12分半くらいなんですが、すっごく長く感じますし、なんだか、いろいろ、細かい部分にも凝ってます。
最後、第4楽章は、快活に始まります。
『生き生きと、でも、急ぎすぎないでね。』
非常に繊細な音楽で、巧妙な絹織物みたいな、柔らかい肌触りが際立つ感じ。
モティーフを弦楽器が細切れにして行くあたりは、むしろ、シベリウス先生に似てるけど、雰囲気は、まったく別なのが面白いです。
それから、対位法的にかさなったりするのは、ブラームス先生譲りかな。
次第に、大きく、盛り上がりまして、なかなか、カッコ良く終わってくださいます。
19世紀の最後期を飾る大交響曲。
『第2番』は、20世紀に入ってしばらくしてからになります。
それは、次回にて。
いやあ、泣き言ですが、今回、これだけ書くのに、午前中から、お昼御飯とお買い物以外、まるまる掛かりました。苦戦! この、ちょっと、簡単には行かないとこが、フランツ・シュミット先生の持ち味かしらあ。いえいえ、ここからが、さらに、大変みたいですよ〰️〰️〰️☺️
・・・・・・・・・・ うつ 🤔 うつ ・・・・・・・・・・
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