第963話 『ピアノ協奏曲第1番、第2番 その他 その2』 メンデルスゾーン
『ピアノ協奏曲第1番』(1831年)と『第2番』(1837年)は、まず『うつうつ』的には、どちらも第2楽章が、じゅわじゅわで、たいへんに結構な音楽であります。
なんとなくではありますが、よぞらに、お星さまがきらきらと輝くようなありかたは、ベルワルドさまの『ピアノ協奏曲』(1855年)や、スクリャービンさまのピアノ協奏曲(1896~97年)につながるような雰囲気もある感じがいたします。それは、やましんの勝手な感想です。
第1番の第3楽章冒頭には、ファンファーレが入るのは、メンデ先生がお好きだったやりかたみたいです。(ホ短調のヴァイオリン協奏曲もそうですね。)
第1番では、怒濤の開始部がなかなか厳しい音楽で印象的なのですが、それは、全体を支配する訳ではないです。
第3楽章は、たいへんに、きらびやかで、ピアノも大活躍。
一方、第2番の出だしは、『交響曲第3番』、え、『スコットランド交響曲』ですね、を、ちょっと思わせる、しんみりさが良いです。が、主部に入ると、ハイテンポな動きを見せたあとで、また、陰りのある、いかにも、ロマンチックな風情になります。
ここらあたりの、移り行きの美しさは、なかなか、じゅわじゅわで、この作品のきかせどころ。
で、いくらか、ベートーベン先生風な、また、シューマン先生に近い旋律も見せます。
考えてみれば、第2番は、ベートーベン先生が亡くなって、まだ、10年後の作品なのです。
しかし、ベルリオーズ先生の『幻想交響曲』は、1830年です。
そうしてみると、ベルリオーズさまは、やはり、かなり、前衛。
メンデルスゾーンさまは、ちょっと、古典的な雰囲気も残しております。
ま、そこが、良いのでもあります。
ときに、名高い、シューマン先生の『ピアノ協奏曲イ短調』は、1845年に完成とのこと。
なるほど、シューマンさまのフレッシュさは、やっぱり、凄いかな。
で、たいへんに美しい第2楽章です。
この楽章の最後は、泣きます。
泣かせます。
第3楽章は、第1番より、じみかもしれないですが、織り成す音楽自体は、魅力いっぱいです。
ところで、メンデルスゾーン先生、このあと、ホ短調のピアノ協奏曲を、第2楽章の途中まで書いていたのだと。
しかし、なぜか、最後まで書かずじまいになったのですが、丁度同じ時期に書いたのが、ホ短調のヴァイオリン協奏曲です。(1844年)
いろいろと、現在は言われますが(ヴァイオリン協奏曲、聞きあきた〰️〰️、とか、ですね。)、にもかかわらず、やましんは、最近、つとつとと思うのですが、このホ短調の『ヴァイオリン協奏曲』は、やはり、ものすごい作品でありますなあ。と。
シューマンさまの、『ピアノ協奏曲イ短調』といっしょに、雛壇の最上段に並べるのが、まさに正しいです。(言い方、悪いかな。)
これが、相前後して完成されたのは、なんだか、ちょっと、ミステリアス。
で、なんとなく、ほったらかしになった、ホ短調のピアノ協奏曲さんが、かわいそう。
そこで、前回登場しました、キルシュネライトさまのCDには、R.ラリー・トッドさま、により作成されたという、その復元完成バージョンが録音されています。
もともと、第2楽章の途中までしか、それも、不完全にしか、書かれていないらしいワケなのですが、第1番を発展させた雰囲気の第1楽章は、やはり、メンデルスゾーン先生によるピアノ協奏曲だあ、とは、思いますものの、たしかに、ヴァイオリン協奏曲ホ短調の、あの、あまりに神秘的な音楽と、並べて書いていらっしゃったなら、うーん、かなり、もったいないけど、そりゃ、ヴァイオリン協奏曲に移行しても無理はないか。
なにしろ、メンデルスゾーン先生は、過酷なほど忙しい毎日だったようですから、使える時間が限られているなかで、それは、あり得るなあ、とも、思いました。
1847年には、過労死ではないか、という感じで、亡くなってしまいます。
親しかったシューマン先生は、1856年に、自殺未遂の末、闘病むなしく、亡くなります。
なんだか、はかない。
しかし、この復元番の第2楽章、すっごく、魅力的です。
さらに、第3楽章は、そもそもないわけで、そこには、ヴァイオリン協奏曲の第3楽章を編曲したバージョンが、入っていますが、それは、なかなか、意味深であります。
聴く側からすれば、とても、良く出来ております。
・・・・・・・・・・ うつ 😇 うつ ・・・・・・・・・・
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