第958話 『アラディン組曲』 カール・ニルセン


 全曲、31曲からなる、劇付随音楽。


 全曲のCDは、かなりむかし、シャンドス・レーベルから出ていました。指揮は、なんと、ロジェストヴェンスキーさま。


 一般的には、7曲の組曲版が良く演奏、録音されます。


 ただし、これは、ニルセン先生(1865~1931)自らが編んだわけではないようです。


 同い年のシベリウス先生も、かなり、劇音楽を書いていますが、劇音楽は、劇場や、演出家側の都合がたくさんあり、作曲家さまには、ストレスが溜まりやすいお仕事でもあるようで、ニルセン先生も、この仕事には、最初から、あまり乗り気にならなかったらしいですが、出来てみれば、音楽自体は、じっつに聴きがいのあるもので、面白いですし、じゅわじゅわなところもありで、わくわくもしますし、機会が来たら、ぜひどうぞ。


 『イスパハンの市場』は、そのじゅわじゅわ感と、演出的面白さもあり、うつうつ的にも、良い音楽です。さいごは、たいへん、かっこよく、終わりますが、このあたりは、うつうつというより、『うきうき』です。


 ニルセン先生、単なる異国趣味的な作品にはしたくなかったらしく、それは、東洋に住むぼくたちは、西洋人からしたら、なんとなく、そうした異国趣味の対象の一部を担う存在にされがちなところからみると、さすが、ニルセン先生、見上げたものだし、新しい時代の音楽家の面目躍如たる考え方が、きらきらするようで、良い感じ。


 だいたい、劇音楽というものの場合は、小さな欠片みたいなピースがあり、それは、なんとなく、うっとうしい気もなくはなくて、こうした組曲版が存在する意義は、なんだか分かる気はしますが、それでも、全曲聴いてみたいのも、音楽好きには、まあ、人情。


  全体の初演は、1919年2月15日だそうであります。



・・・・・・・・・・ うつ 👹 うつ ・・・・・・・・・・




 


 

 

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