第897話 『歌劇《リゴレット》』 ヴェルディ


 ヴェルディ先生(1813~1901)、初期の人気作。


 『椿姫』と並ぶ、世俗的大人気オペラです。


 特に、『風の中の羽のように』(女心の歌)は、初演されるとすぐに、町じゅうで、歌われるようになったらしいです。


 もっとも、ヴェルディ先生は、そうなると予見していたので、公開までは、先に出回らない様に、気を使っていたとか聞いたような。


 さらに、このオペラは、ヴァイオリニストや、フルーティストにも、『変奏曲』の形で、貴重なレパートリーを提供する基になりました。


 それだけ、有名なアリアが、目白押しになってると言うわけです。


 しかし、お話の内容は、かなり重いです。


 この世の、矛盾、醜悪さ、残酷さ、不思議さ、を見せている内容で、多少恣意的すぎるかもしれませんが、ハッピーエンドのどたばた歌劇よりも、非常に現実的であります。


 道化のリゴレットさまは、いわゆる太鼓持ちさまでありますが、社会的な弱者です。


 しかし、娘のジルダ様は、純粋で奇麗な娘さん。


 それが、マントヴァ侯爵の毒牙にかかるということになり、リゴレットさまは、愛憎の渦にもみくちゃにされてしまいます。


 なので、マントヴァ侯爵は、まあ、悪役ですが、冒頭に登場する『あれかこれか』や、その『女心の歌』に恵まれていて、これを歌いたいために、テノール歌手さまからは人気の役柄のようです。


 内容的に『うつうつ』音楽そのもの。


 とても良い音楽なのが、それ自体、強烈な皮肉かもしれないくらいです。  




 ********** うつ  ⚔  うつ **********

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