第811話 『オルフェオ』 モンテヴェルディ

 西洋音楽史上を飾る、最初期の傑作オペラ。


 モンテヴェルディ先生(1567~1643)が、史上初めてオペラを書いたわけではないようで、ヤコポ・ペーリ先生(1561~1633)の『ダフネ』が、記録される最初のオペラのようです。しかし、これは現存しておらず、残ってるのは、音楽ファンには結構知られる『エウリディーチェ』です。CDもあります。


 西暦1600年過ぎあたりに書かれたようです。


 最近、聞いていませんが、何となく、わりと大人しい印象があります。


 そこに登場して来るのが、モンテヴェルディ先生の『オルフェオ』であります。

 

 こちらは、1607年に初演されたとのこと。


 興味深いのは、やはりまず、お話しに関してで、古いギリシャ神話の『オルフェウスとエウリディーチェ』(読み方は、国によっていろいろみたい。)によります。


 これは、古代から起こって、中世、近代から現代までにもわたって、大変人気のあるお話しでありますし、出雲神話の『いざなぎといざなみ』も、おそらく、同じ起源があるのでは、と、やはり思います。


 あまりに、よく似ているからですが、後半部分になると、なぜか違ってきて、日本の場合は夫婦げんかが、戦争状態まで発展し、俄然、面白くなります。


 つながっているなら、どういう経路で、どのようにつながったのか、どう変化したのか、興味が尽きないところですが、やましんの扱える領域ではありません。


 モンテヴェルディ先生や、ハイドン先生は、最後を悲劇として扱っていると思いますが、有名な、グルック先生(1714~1787)の作品は、最後をハッピー・エンドにしてしまいました。


 グルック先生の場合は、『聖霊の踊り』があることで、一層名高くなっていますし、これは、フルート吹きには、ちょっと絶対的な存在になっています。


 これも、かなり、マルセル・モイーズ先生の古い録音やレッスンがものを言ってるような気はいたします。


 日本の、おじさんアマチュアフルート吹きが、よく吹きたがる音楽でもありますが、思い入れがありすぎて、なんとなく演歌みたいになりやすい。


 オペラの録音では、意外にも、あっさりと行ってしまうような。


 ただし、これは、最初の『ウイーン版』では、中間部分の有名な短調で書かれたところは、ありません。


 それは、『パリ版』で挿入されたもので、フランスでは、バレエが入らないとうけないということから、挿入されたバレエ音楽です。


 だから、あまり踊りにくい演奏は、困るのです。


 昔のライヴ音源で聞くと、バレリーナたちの、足音が、どんどんと、響きます。


 まあ、オペラのライヴは、だいたい、そうですが。


 グルック先生の作品に関しては、深遠な傑作である、という意見と、モンテヴェルディ先生に比べたら、劇としての面白みが足りなくて、つまらない。


 というご意見も、聞いたことがあります。


 そこは、まあ、好き好きだとは思いますが、それ自体が、グルック先生の思惑だったようなので(オペラの改革者と呼ばれる所以)、興味深いです。


 これは、お話の出どころのご本が、今見当たらないのですが、グルック先生、晩年はお酒禁止だったけれど、ある日、奥様の留守を狙って、飲んでしまい、そのまま亡くなったとか、という、噂を聞いたような。これ、本当かしら?


 それはともかく、モンテヴェルディ先生に戻りますが、このオペラ、頭から、どかん、ときます。

 

 ものすごく印象的なフレーズで始まります。


 やましんの、宝ものになっている、若きアーノンクール様指揮による、テレフンケンの昔のLPレコードの冒頭を聞くと、飛び上がりそうになります。


 このLPには、使われている古楽器の紹介用の録音が入っていて、面白い。


 その冒頭は、『聖母マリアの夕べの祈り』(1610年に出版)と同じフレーズに聞こえます。


 そうして、このオペラ、名旋律のオンパレードとなります。


 ここが、次のすごいところです。


 美しく、また、印象的な音楽が次々に現れます。


 なので、400年以上経った現在も人気作品となっております。


 これ、なかなか、すごい。


 モンテヴェルディ先生には、オペラが18曲もあったらしいですが、全曲残ってるのは、あと、『ポッペアの戴冠』と『ウリッセの帰郷』で、こちらも現代に生き残っております。


 ときに、日本には、童話として書かれた『少年オルフェ』(米沢幸男さま著 :講談社青い鳥文庫)があります。


 このお話は、急死した妹、ふじ子(ふうちゃん)を探す旅に出る少年、すすむ君のお話しですが、かつて、NHKで、二回、テレビ・ドラマ化されました。


 最初のは、白黒でしたが、二回目はカラーになっていたような、ほのかな記憶があります。


 当時の子供には、かなり、シュールな作りで、ものすごく影響されたように思いますし、異世界ものというべきものです。


 現在流行りの異世界ものや、転生、変身、英雄ものなども、古い神話の世界から続いているわけで、非常に伝統のある分野でありましょう。


 けっして、最近、流行り出したわけでも、ありません。


 また、オッフェンバック先生(1819~1880)の『地獄のオルフェ』(日本名、『天国と地獄』)は、この神話のパロディーであります。


 やりすぎ~~~~~~、という気もしなくもないけど、面白い事にかけては天下一品。(序曲の最後にある、『カンカン』の部分を知らない方は、そうありますまい。しかし、そこに至るまでは、ものすごく美しいメロディーがどんどん、出て来ます。それに、あの、カンカンの音楽だって、やましんは、中間部に、得も言われぬ、じゅわじゅわ感を感じるのです。)


 日本で、ここまで神話をパロディーにしたら、何と言われるかな?(いや、ありそう。マンガも見たような。)



  🌌本日は、これでも、すっごく力が入りました。


   やましん、くたくた、れす。



********* うつ  🌋 👹 🌋  うつ *********

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