第774話 『ミニヨンのためのレクイエム』 シューマン


 シューマン先生(1810~1856)には、ほかに、『レクイエム作品148』があります。また、『ミサ曲ハ短調作品147』も、書いています。(余計ながら、レクイエムは、『死者のためのミサ曲』です。)


 こちら、『ミニヨンのためのレクイエム作品98b』は、ゲーテ先生の『ウィルヘルム・マイスターの修行時代』の第8章をもとのテキストとして成立しています。なので、歌詞はドイツ語です。


 1849年の作品で、『作品98a』は、『ゲーテのウィルヘルム・マイスターからの9つの歌曲』であります。


 なので、これは、必ずしも、いわゆる宗教音楽の範囲ではないというわけですが、宗教的でないとも、言えない。


 出生の秘密に包まれ、やがてその結果、死に導かれたミニヨンへの哀悼と、さらに、生き続けるものへの励ましのような歌詞を持っています。


 どことなく、『ファウスト』の終末部を思わせるような、人世のごたごたと、それを乗り越えた所にあるだろう成功や希望に、想いを託す、現実的ながら、常に前向きなゲーテ先生ならではのような気もいたしますが、やましんは、巨大な『ファウスト』を、学生時代に、ちょっとかじっただけであります。(一応全部読んだ。日本語で。最後のところだけは、ドイツ語も参照…………ひやひや。)


 当時の先生からは、『ファウスト』は、今、若い時代にいっかい、読み、中年に、もういっかい読み、死ぬ前にもういっかい、読みなさい、と、言われていましたが、中年は、飛ばしてしまいました。『ウィルヘルム………』、は、なんと、ちら、と、眺めただけで、読んでおりません。


 日本のサラリマンには、どちらにしても、あれだけ長い作品を読む時間は、なかなか、ない場合が多いかも?

 

 シューマン先生は、たいへん文学に深い造詣があった方でありますから、ゲーテ先生の言葉から、やましんには、理解の『り』、にも至らない世界を見いだしていたのでしょう。


 シューマン先生には、『ゲーテのファウストによる情景』と申します大作があります。


 ゲーテ先生が、長い生涯をかけて書いた『ファウスト』に、たいへんストレートに音楽を付けていまして、こちらもまた、命懸けに書いたものでありましょう。(ものすごい傑作。むかし、サヴァリッシュ先生の指揮で、NHK交響楽団が演奏しました。名演です。CDになれ。CDになれ。CDになれ。三回言いましたから。)

 

 実際、シューマン先生、作曲中、疲労困憊に陥ったようです。


 『ミニヨンのためのレクイエム』は、15分かからないくらいの作品ですが、『ファウストの情景』につながる音楽のように思います。


 美しい旋律も、持っています。


 なかなか、『うつうつ的』癒し効果あり。(個人差あります。)



・・・・・・・・・うつ  😍💓💓 うつ・・・・・・・・・・

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