第762話 『キリスト』 フランツ・リスト

 リスト先生(1811~1886)は、もちろん、大ピアニストとして、華麗な活躍をしたのですが(見たことはありませんが)、例えばショパンさんが、若くして亡くなり、ピアノ作品以外をあまり書かなかった(書く気にはなっていたらしい)のに対して、管弦楽作品もかなり沢山書いていますし、『交響詩』という分野の確立にも寄与しています。


 さらに、この作品のような、宗教音楽もあります。


 こちらは、リスト先生が書いた三つある、オラトリオ作品のひとつで、1866年に完成したとのことです。


 初演は、1873年5月29日。


 CDぎゅうぎゅう詰めで2枚必要で、2時間40分くらいはかかります。


 やましんが聞いているCDは、どういういきさつのものか、わかりませんが、スヴェトラーノフさまが指揮したライブ録音です。


 いやあ、なかなか、すごいです。


 三部構成であります。


 基本的には、ヘンデル先生の、オラトリオ『メサイア』と同路線の内容なのですが、19世紀も後半に入り、ロマン派はらんじゅくしてゆきつつあり、オーケストラは迫力満点になっておりまして、やがて、すぐに、マーラー先生の時代がやって来るのであります。


 しかし、この作品、派手さはたいへん、控えめで、むしろ、第1部の『クリスマス・オラトリオ』は、バロック時代が来るまえたあたりの、教会音楽をお手本としているかのような、真摯な祈りに満ちて、礼拝堂で聴いている感じがじゅわじゅわと、あり、静かに進んで行きます。

  

 このあたりが、たいへんに、癒し度あり。(個人差あります。)


 第2部『公現の後で』は、いわゆる山上のすいくんから、主の祈り(やましんのような異教徒でも、その存在を知ってる名高いお祈りの場面です。つまり、『天にいますわれらの父よ…………』パーテル ノステルとも、言われるところ。)


 このあたりは、信仰のいかんにかかわらず、非常に、じゅわっとする音楽です。


 第3部は、『受難と復活』です。


 ここには、『スターバトマーテル』が含まれ

、その後、静かに聖歌が歌われまして、最後は輝かしく『レスレクシット』(復活)で終わります。


 ときに、第3部は、なんとなく、マーラー先生の音楽に近くなって行く雰囲気がちらちら、漂うようになりまして、なかなか、興味深いです。


 ちょっと、くせになりそうな、音楽です。


 しかし、長い。長い。


 ちなみに、マーラー先生の、『交響曲第2番』、いわゆる『復活』が書かれたのは、1888年から1894年に掛けてです。


 つまり、リスト先生が、亡くなった直後から、と、言うわけです。


 ただ、マーラー先生の『復活』というのは、最終楽章の歌詞が、クロプシュトックさまの、讃歌『復活』によるために、勝手にそう、呼ばれるようです。


 やましんは、この『復活』は、かなり、個人的な意味合いではないかしら、と、勝手に、思っております。はい。


 しかし、やましんは、社会に復活しそうにないです。




・・・・・・・うつ   🎋  うつ・・・・・・・・



 


 


 

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