第307話 『ちょうちょう夫人』 プッチーニ
さあて、これは、まあ、現代社会においては、どう見られているのか、非常に気になるところが多い作品。
初演は、1904年2月17日ですから、まごうことなく20世紀の音楽。
しかも、この初演は、歴史的な大失敗として知られるもので、聴衆の多くからそっぽ向かれてしまったらしい。
しかも、最初からそういう雰囲気だったというから、なんか、怪しいな。
終幕後、プッチ先生は、すすり泣く息子さんに抱えられ、作曲家マスカーニ先生は、舞台上に立って、泣きながら非情な聴衆を非難した。
なにか、あらかじめ情報が流れていたのかどうか、ちょっとわかりません。
初演版は、非常に長く、聴衆が耐えかねたのかもしれないし、内容的に日本が舞台であり、多くの聴衆には、もともとまだなじみがなかった。
しかし、同じ年の改訂版の初演では、3幕物から2幕物になり、こちらは成功したとのことで、一概に、ただ日本のせいでもなさそう。
なので、ピンカートンさんを、やや批判的に扱っているということは、イタリアで、批判される材料だったのかと思うと、そうでもなさそう。
プッチーニさん自体が、初演に弱いのか?
でも、1900年の「トスカ」は、爆弾が投げ込まれるとか言う噂があったが、それでも成功だったとか。
1896年の『ボエーム』も、大成功だった。
まあ、よくわからないです。
ただ、イタリアの聴衆が、非常に厳しい事は事実のようで、やましんは、行ったことないですが、辛辣なヤジが飛ぶのはもちろん、賛成派と反対派が場内でぶつかって、はでに批判し合ったり、ブーイングの嵐になったり、お行儀のよい日本の聴衆とは大分違うようです。
それは、大相撲の様子を見ていれば、なんとなく、そんなことがあっても、なるほど、という気もしますな。
あの、座布団が飛ぶのは、海外の方からしたら、クラシックの演奏会では大人しい、同じ日本人とは、思えないかも。(最近は、辛辣な方も増えてるらしいとも。)
さらに、この歌劇の内容そのものが、人種差別的なものなのではないのか?
いやいや、現実を浮き彫りにしたのだ!
というのは、当然、出てくる疑問でしょう。
プッチーニ先生は、非常に綿密に日本の音楽やらを調べ、そこは、20世紀ですからね、レコードなども聞いて直に確認した様です。
なので、この作品には、おなじみのメロディーがふんだんに出て来ます。
『みやさんみやさん』、『さくらさくら』、『お江戸日本橋』、『かっぽれ』、『君が世』など。一方、アメリカの『国歌』(星条旗)も登場。
こうした趣向は、ギルバート&サリバンさまの『ミカド』でも使われていますが、さすがに音楽的には、プッチ先生が遥かに気高い。
音楽は、すごいのです。
ちょうちょうさんの登場する場面の音楽もそうですが、やはり、あの名高い『ある晴れた日に』も、そりゃあもう、素晴らしい。涙なしには聞けないのです。
最後のところも、音楽は素晴らしい。
ただ、いやあ、あれでいいのか?
という問題は、どうしても、ぬぐいきれないのは事実。
人種差別的かどうかはおいといても、だいたい、あまりに男性上位の考えだろ。
今日に至るも、とにかく、オペラの演目としては、はずせない作品ですし、日本のソプラノ歌手が、この作品には、欠かせなかったという事情もありそうな。
以前、初演時の3幕版のCDが出たことがあるのですが、そのカバーの絵が、あまりにぶっ飛んでいるので、これ自体が、いかがなものかしら・・・と思った方も多いはず。
なにかと、お騒がせではありながら、音楽は、たぶん、すごい。
まだお聞きでないかた、見たいとか、聞きたいとか、思われましたら、ぜひどうぞ。
20世紀最高の歌劇であることは、音楽からは、間違いなく事実だろうと思いますし・・・・・・・・(ただ、プッチーニ先生は、聴衆の好き嫌いも、かなり大きいような気もします。やましんは、あまりたくさん聞くと、お腹が痛くなる気もしなくもないかな。)
あああ、もうこんな時間か。
寝られるかしら・・・・・
* 参考『クラシック名曲初演&初録音事典』 平林直哉 さま著 大和書房 2008年』*******
******** うつ 🌸 🌸 🌂 🌸 🌸 うつ ********
ううん・・・・・
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