第299話 『交響曲ハ短調』 グリーグ

 グリーグ先生(1843~1907)は、生前から、わりあい、海外の世間さまからも、好意的に扱われた作曲家さんだと思います。


 まあ、一時、ドレフュス事件の際などは、あまり深くは考えなかったらしいけど、人道上から、ドレフュス様側に立つことを表明したりして、フランスのナショナリストの皆様などからは、かなり非難され、演奏会が中止になったこともあったようですし(音楽関係ないだろ! 偉いひとの場合は、そうも、言ってられないな。シベ先生もやはり誇り高いフランスでは、かなり苦戦したようです。)、まあ、この世に、100%なんてことは、なかったのでありましょう。


 そんな、グリ先生には、どうやら内心の悩みがあったらしく、『自分は大曲は書けないのではないか?』ということで、心を痛めていたことがあるらしい・・・


 実際、『ピアノ協奏曲』という、現在でも人気の高い作品があり、しかもそれが一番有名でもあり、次に有名なのが『ペール・ギュント』の劇音楽でもあることからすれば、そうした印象は、あまり一般には、ないかもしれませんが。(もってまわった、やな書き方だ。)


 ただ、実際のところ、グリ先生の一番良いところは、ピアノの小品集や歌曲に集約されているというのが、専門家の皆様の、大方の見方のようです。


 菅野浩和さまの、貴重なご本、『グリーグ 生涯と作品』(昭和59年 音楽の友社)では、そこらあたりは、シューベルトさんとの類似性がみられるとのご指摘がございます。


 そんななかで、長年隠されたままになっていたのが、この『交響曲ハ短調』です。


 1863年から64年に掛けて書かれたもので、当時北欧地域の音楽家の『ドン』だった、ゲーゼ(ガーデ)先生のご意見により、書かれたものだそうです。


 まだ、グリ先生、二十歳のころです。


 何度か、楽章別に演奏された後、全楽章が初演されたのは、1865年の1月19日だったそうな。(こういうことが出来たということ自体が、もう、すっごいことですよね!)


 この1865年という年は、フィンランドでシベリウス先生が、デンマークでは、カール・ニルセン先生がお生まれになった年であります。


 このお二人が、後に、北欧地域の『交響曲』創作のピークを作ったわけですから、記憶していてよい年かも。


 しかし、1867年になって、グリ先生は、この曲に封印をします。


 きっかけは、その年に現れた、スヴェンセン先生の『交響曲第1番』だったらしい。


 グリ先生は、自分の『交響曲』は、役割を終えた、もしくは、それには対抗不能と判断した、のか、とにかく、以降の演奏を、一切禁止したのです。


 それから、幾年月が流れますが(書き方違うかな・・・)、その禁令は、1981年になるまで守られていましたが、ようやく、100年以上たち、ベルゲンの音楽祭で、この世に蘇ったのです。


 楽譜も出版され、録音もされて、LPレコードも出ました。


 さて、今回『うつうつ』に入れましたが、これが、なかなか難しい。


 グリ先生の、まだ、習作とみるべき作品で、これをもって、本格的な作曲家になってからのグリ先生と比べて、あるいは、一般的に、あまりこれを、評価の対象なんかにしたりしたら、グリ先生から、しかられるかもしれないです。(だから、封印しただろ! って。)


 ノルウェーで、最初の交響曲を書いたのは、たぶん、オットー・ヴィンター=イエルム先生(1837~1931)で、グリ先生ではありません。(第2番のLPはありました。)


 なので、母国第1号というわけではない。


 で、やましんおもうに、『第1楽章』は、なかなかの傑作です。


 これは、やましんごときが、えらそうには、言えませんが、きっと捨てちゃいけない音楽ですよね。


 『第2楽章』には、あきらかにグリ先生の、爽やかな香りが頭から吹きすぎる、良い音楽です。


 ピアノ曲にしても、きっと良いです。ここだけなら『うつうつ』効果あり。(個人差あります。)


 問題があるとしたら、『第3楽章』と、『第4楽章』が、いまひとつ、ぐあ~~~~っと、来ない事なんですねぇ。


 スヴェンセン先生は、管弦楽の扱いも上手で、聴衆に、ぐっと聞かせるモノがあり、たしかに、グリ先生が身を引いたことも、判らなくもないかな。


 でも、それでも、今回、改めて聞いてみて、思ったのです。


 『グリ先生!、これ、捨てるのは、あまりに、もたいないですよお!』


 あの、『ピアノ協奏曲イ短調』が書かれたのは、1868年です。


 その前に書かれた、このグリ先生の、本格的管弦楽曲。


 北欧音楽好きには、外しちゃならない作品だと、思います。


 最近は、CDも数種類以上出てるはず。


 やましん、生意気なだけの、若き日の思い出でもあり、社会から転落して、ただ、役にも立たず、無為に歳だけ取って、落ち込んでる自分をなぐさめるには、あまりにも、もったいない音楽であります。


 ときに、グリーグ先生は、64歳で他界しております。


 むむむむ・・・・・・やましんは、この世で、いったい、なにをした? (なにもしなかったんでしょう?・・・・・)


 


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