第233話 『フルート協奏曲』 ジョリベ
イベール先生の『フルート協奏曲』が、明るい陽性音楽ならば、こちらは、独特の、すばらしいけれど、ある種の暗さを誇るジョリベ先生(1905~1974 フランス)の傑作。
その、いささか妖しい魅力がたまらない。
『第1楽章』は、壮大なクレッシェンドで、じゅわじゅわと、いささかミステリーのように盛り上がり、アレグロ・スケルツァンドの部分に至ります。
しかし、どうした訳か、その終結は意外なほど、謎のままで、ぶつぎれ。
『第2楽章』の、これまた、くら~~~~い冒頭につながります。
なんとなあく、対決姿勢でおたがい譲らないソロと管弦楽。
しかし、この音楽は、いつの間にかオーケストラ側から湧き上がる不可思議なモティーフのなかで、最後の雄たけびを両者が同時に上げて、ややブラックな、でもカッコいい終末を迎えるのです。
20世紀を象徴するような、争いと、暗さがテーマになってる感じがする、かなり危ない協奏曲。
もちろん、演奏は至難な難曲。
やましん、元気なころは、二年おきに開催される『日本フルート・コンベンション』にも、かつては参加しておりました。
この曲は、そこでも演奏されたことがあったという気がするのですが、その若い方々が多い、沸き立つような会場の雰囲気と、この曲独特の雰囲気が、やがてやましんに訪れる『精神的崩壊』をあたかも予測するような、この地球空間とやましんの『ズレ』と重なり、こいつを聞くと、今でも、なんとも表現しがたい一種のフラッシュバックを起こす感じがするのです。
でも、明るくても、暗くても、妖しくても、妖しくなくても、前向きでも上向きでも、もしかして後ろ向きでも、良い音楽は良い音楽。
1949年に作曲され、ジャン・ピエール・ランパルさまにより初演された、20世紀半ばから後半、最高のフルート協奏曲。
ちょと、怖いもの見たさでも、機会があれば、是非どうぞ。
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