第214話 『ペール・ギュント組曲』 セーヴェルー

 『ペール・ギュント』の音楽が、グリーグ先生の独占かというと、そういうわけではないようです。


 これが、その証拠であります。


 1947年に書かれた劇音楽から組曲を編んだもの。


 グリ先生の『ペール・ギュント』は、大変に美しい、感動的な音楽なのですが、必ずしも『現世破壊的』で、いわゆる『道徳に反する』このお話には、そぐわない良い音楽でもあります。


 そこんところを、もうすこし、よっく見つめ直してみようとする王立劇場の舞台監督、ハンス・ヤコブ・ニルセンさまの意向を受けて書かれたのが、この作品ということ。


 しかし、いかにも民族音楽にも精通したセーヴェルー先生(1897~1992)らしく、モダニズムに囚われた音楽ではなく、といって、ロマン的な訳でもなく、グリ先生に比べていえば、いなかくさい、スマートじゃない、あまりカッコよくない、洗練されない、ペールさんやソルヴェイさんです。


 じゃ、面白くないかと言うと、そうではなくて、これがなかなか音楽としては面白いのです。


 第1組曲の4曲め『雑多な仲間』では、なにやら、フランスの国歌や、アメリカの有名なお歌をもじったような怪しい音楽が楽しいです。


 第2組曲では、『墓場の聖歌』が、非常に面白い。


 第1組曲の『ソルヴェイは歌う』はグリ先生の『ソルヴェーグの歌』、第2組曲の『眠れ私のいとし子よ』は、グリ先生の、『ソルヴェ―グのこもりうた』に該当するものですが、とっても純朴で、『芸術歌曲』というよりは、そこらあたりのお姉さまや、おばさまの『お歌』です。


 グリ先生が被せた、美しい衣を、はぎとってしまたようなところがある音楽で、そこが舞台監督さんの、原作を正しく見直そうとしたことの反映のようであります。


 悩めるやましんを、ちょと、なぐさめるというよりは、からかう感じが、むしろここちよい。(なんだそりゃ?)


 日本盤CDがありました。(WPCS-5759 ワーナーミュージック・ジャパン)



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