第199話 『ハープ・ソナタ ハ短調』 (ヤン? ソフィア?)デュセク

 ヤン・ラディスラフ・デユセク先生(1760~1812)に付きましては、以前『ピアノ協奏曲』さんにご登場いただきました。


 『ハープのためのソナタ』などハープ曲も、いくつか作曲した様です。


 ただ、デュセクさんとハープの組み合わせは、ある『悲劇』を思い出させてしまうので、ちょっとつらいところもあります。


 つまり、デユセク先生は、有名なハープ奏者で作曲もしたクルムホルツ先生の奥さんと駆け落ちし、クルムホルツ先生を自殺に追い込んだと言われておりまして、細かい部分はよくわからないし、大昔の事でもあり、簡単に非難できるものでもないか、とは思いますが、事実ならば『悲劇』であることは間違いないですよね。


 しかし、そうした浮世のごたごたとは関係ないように、これはまあ、なんともじゅわじゅわと慰めをいただけてしまうよい音楽であります。


 『作品2』の3つの『ハープ・ソナタ』の3つめということのようです。


 全体は『3楽章』から成り立ち、演奏時間は8分足らずくらいで、ごく聞きやすいものであります。


 『ハ短調』という調性を頭に思い浮かべると、ベー先生の『第5交響曲』など、劇的でわりと厳しい音楽を想像しがちですが、これは必ずしもそういう感じではありません。


 明るい色調を、あえて浮かび出させるために、周囲をちょっと暗い音楽でおおっている、くらいでしょうか。


 全体の白眉は、やはり『第2楽章』でしょう。


 もう、ため息が出るほど、美しいです。(中間部あたりは、ちょっと、日本のある有名アニメのテーマ音楽との近親性が感じられますが、まあ、これは、たまたまでしょう。)


 ちょっと暗めの『第1楽章』と、明るく軽やかな『第3楽章』も、良い音楽です。


 デュセク先生、いまひとつ日本での知名度が上がらないようですが、恐るべき美男子だったためになのか(写真がないのは残念。)、性格も手伝ったのか、沢山のスキャンダルは起こしたようですが、やはり作曲家としては、天才の部類でしょう。


 * と、書いてからやっとこさ気が付いたのですが、確かにやましんの手元にあるスウェーデンBISのCDも、もう1枚のCDも、この曲は、ヤン・ラディスラフ・デュセク先生の作品とされてますが、どうも最近の資料上では、じつは、そうではなくて、奥様のソフィアさんが書き、夫の作品として出版したとされる中に『ハ短調のソナタ』がありますので、奥様の方の作品ではないか?と。しかも、作品2のNo.2となっていますが、手元のCDではNo.3になっています。このあたり、もう少し、調べてみます。また追記いたします。(2019.4.12)

 



 


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