第165話 『交響曲第9番』 ブルックナー

 ブルックナー先生が、遂に完成できなかった、この世とお別れの『交響曲』。


 ブルックナー先生の『交響曲』に関しては、その、けがれなきファンと、アンチ・ファンと、(無関心)中立派に、なんとなあく峻別されていたようなイメージがするのですけど、(みんなそうですけど、特にどこか、あえて、あえて、あえて、言えばですね・・・どこかの国の偉い方のような感じの答え方です・・)セクト化と申しますか、いささかそういう、不可思議な感じがしたものです・・・・・。部外者は立ち入り禁止みたいな。


 そう、しばらく前までは、そうだったように思います。


 これは、おそらく日本人のブルックナー先生受容史の初期から中期にかけての現象であったのかなあ・・・・そんな気がします。


 いまや、この世代の方々は(やましんも、その世代ですからね。)次第に高齢化が進み、やがては消え去るのです。


 次の世代の方は、ブルックナー先生を、教祖様のように特別視とかは、もう、あまりしない世代に移って行くのかもしれません。



 ときに、『ウイーン音楽地図』(昭和62年音楽の友社)を見ておりますと、あの、ブル先生の宿敵ハンスリック先生も、当初はブル先生に大変好意的な立場をとっていたとあります。


 結局のところ、ワーグナー先生に対して、どういう立場をとるのか、が問題の中心だったようです。


 ブル先生が、ワーグナーさんに傾倒するにつれて、ハンスリック先生は、ブル先生攻撃に転じた様です。


 でも、ブル先生の音楽そのものは、ワーグナー先生の二番煎じではまったくありません。独自のものであります。


 ブルックナー先生は、生涯独身で、妹さんのアンナさんが、最後まで身の回りの世話をしていたのだそうです。


 処世術に関しては、きわめてぶきっちょで、女性には何度もアタックはしたようですが、気持ち悪がられることはあっても、まったく、もてず(やましんと同じ)、また、目の前にあるものをなんでも数えてしまう癖とか、(やましんも似たようなことがありますよ・・・くらべちゃ失礼ですけどね。そう、珍しい事じゃないですよ、きっと。)まあ、多少(かなり)世間外れしていたりはしたようですが、こと音楽に関しては、誰にも負けない技術と才能があったのに、なぜか自分に自信が持てず、お弟子さんなどから「先生、ここ直しましょう。」と言われては、改訂してしまったらしく、(全部が全部、そういう動機ではないでしょうけど、そういう助言を、受け入れやすかったようです。)現在の『なんとか版』という、しろとには分かりかねるバージョンの違いが起こっています。(マニアの方には、そこもまた、たまらない事らしいですけど。)


 ええ、すみません、彷徨い続けましたが、『交響曲第9番』は、晩年、一生けん命にお書きになったのですが、そういう、改訂作業にもずいぶん時間を奪われてしまったり、体調が良くなくなったりで、ついに『第3楽章』までしか完成できないまま、1896年、73歳にて、お亡くなりになりましたそうな。惜しい事ですが、天は、いつもそういう意地悪をします。


 また、そういうことですから、初演に関しても、おお幅に書き替えられていたらしいです。(1903年2月11日。指揮は、フェルディナント・レーヴェさん。)


 しかし、1938年になって、一つの演奏会で、前半に通例となっていたバージョン、後半に、ブル先生の書いた原典版が演奏され、その違いに世間が仰天し、原典版の研究が進むようになったのだそうです。(平林直哉さま『クラシック初演&初録音事典』参照) 

 

 しかし、この曲、やはりブル先生はブル先生で、どこから聞いても、明らかにブルックナー先生の音楽です。

 

 そこに、偉大な神さまとか、自然とか、永遠とか、宇宙とか、そうした崇高なものを見ることできるか、それとも、「『第8番』も『第7番』も、その前も、そっくりな音楽だよなあ・・・・」で、そのままになるか、ここに、ブル先生に対する、しろとの対応の大きな分かれ目がある・・・ま、そんな気もいたします。


 やましんは、ブル先生に対しての特別な信仰はないですが、一方、『ひとくくり』な見方は、それもあまり良くないと思いまして、似てはいても、それは、兄妹のようなものだから、と考え、それぞれに楽しませていただく、と言う立場であります。


 なお、この『第9番』の『第3楽章』は、生前世間とは、あまりうまくやれなかったけど、その後、しばらくしてから、歴史上最大の交響曲作曲家のひとりとして記憶されることとなるブル先生の、この世へのお別れの音楽ですし、最初、ちょっと、後輩のマーラー先生に近いようなところから始まりますが、ううん・・・やはり、なにか心にぐっとくるものがありますなあ。


 なんだか、涙が出そう。


 なので、『うつうつ』に入れましてございます。



      *** 👼  👼  👼 ***



 ときに、夕べも聞いたけど、やはり、もう高い音が聞こえない~~~!


 やましん、残り少なくなってきたな、と見た。(音楽聞こえなくなったら、生きてる意味ないんですよね。)



 ********  うつ 😢😢😢 うつ  **********


  

 

 





 

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