第144話 『水のいのち』 高田三郎
日本製の合唱曲の中で、最も名高く、気高い、感動的な作品に、違いありません。
あまりに気高いものですから、触ろうとすると、やましんなど、すぐ炭になって崩れてしまうに違いありません。
作詞は高野喜久雄さま。
1944年の作品ということからも、その乗り越えてきた道のりは、実に
険しいものだったでありましょう。
『雨』『水たまり』『川』『海』『海よ』の5曲からなる組曲です。
厳しい苦悩の中から、最後の明るく澄み切った高みに達しようとするありさまが、ベートーヴェン先生の『第5交響曲』あたりと通じるようなところがあって、人生そのものを暗示させるところからも、長く合唱団では人気曲でありました。
いささか、ひがんでしまって、あえて悪く言えば、『身をたて名をあげ』にちょと通じるかもしれない、気高い理想を抱き続けている音楽でも、あるのです。
それ自体が、悪い訳がありません。
また、すでに功成り名遂げた方にとっては、これもまた、感ずるところがひとしおでありましょう。
しかし、・・・・やましんは、もう長く、この曲や、同じくらいに名高い『心の四季』には触れませんでした。
冒頭にも書きましたように、歌詞や音楽自体が、あまりにも気高すぎて、眩しすぎて、社会から崖下に落ちこぼれた、役立たずのやましんには、とても見上げられないのです。
これは、脱走、脱落組には、たいへん、言いにくい事がらなのでは、ありますけれども。
なので、特に、言葉そのものを伴う合唱曲の場合は、なおさら、自分に対する踏み絵のような面持があって、とても、やましんが歌えるとは思えないわけです。はい。
でも、それでも、そうしたすばらしい傑作であればあるほど、後世の為にも、どなたかが歌ってくださらないと、それもまた、大変まずい事なのです。
************うつ 😢 うつ************
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