第122話 『ある貴紳のための幻想曲』 ロドリーゴ

 ファリャ大先生以降で、スペインで最も重要で、人気もあった作曲家さんです。


 代表作は、まず何と言っても『アランフェスの協奏曲』ですが、これと張り合うもう一方の横綱がこの作品です。


 作曲は、アランフェス協奏曲から15年もたった1954年のこと。


 大ギタリスト、セゴビアさんに捧げられた名作であります。


 この『ある貴紳』というのは、ひとりは、このセゴビアさんで、もうひとりは17世紀後半に活躍した、ガスパル・サンスさんのことだろうと言われます。


 音楽自体も、サンスさんの曲を下地として使っているようであります。


 第一楽章は、明るく爽やかなスペインの朝という感じの、実にすっきりとした音楽。


 第2楽章は、もともと二つの曲が合体しているようですが、A=B=A形式の曲。


 この『A』 の部分は、シチリアーナ風味のスペイン舞曲で、レスピーギ様の『リュートの為の古風な舞曲とアリア』に登場する名高い『シチリアーナ』とも、なんとなく古~い時代のどこかでつながっていたんじゃないかなあ、と感じる、かなり共通性がありそうな音楽です。でも、全曲中、もっともじゅわじゅわな癒しに溢れた音楽であります。中間部の『B』の部分は、唐草文様のような、ちょっとおどけたような雰囲気の音楽。これがあるから『A』の再現部がより効果的になるのです。


 第3楽章は、短くて簡潔ながら、大変有名な音楽であります。


 『たいまつの踊り』と言われる、夜系の踊り。


 これは、ファリャ大先生の『恋は魔術師』に登場する『火祭りの踊り』との親近性が感じられる、華やかな音楽ですが、かなり怪しい魔術的な雰囲気を孕む、ファリャ先生の曲に比べると、より健康的な感じもします。


 終楽章は、『カナリオ』という明るい舞曲です。『カナリア群島』が、その起源だからね、と言われるもの。

 屈託のない、大変、にぎにぎしくも、また、目出度い、舞曲であります。


 ときに、ロドリーゴ先生は、ギターは弾かなかったとのことですが、ぴたっと的にハマった音楽なのは、さすが、としか言いようがありません。


 また、いまやましんが聴いてるCDの解説では、まだご健在とのことになっているくらい、つい最近までお元気だったので、同時代の人、という感がいまだに強い方です。(1901~1999・・・でも、いつのまにかずいぶんと時は経ちましたねぇ。こわいこわい。)



  ********** 🎸  🎸  🎸 **********

 






 








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る