第17話   「ユモレスク」 ドヴォルザーク

 

 ここからは、作品名を先にすることにいたしました。  


 特に意味は無くて、しばらく休んでいたので、ここから再開、というくらいの意味あいであります。ついでに、この先は、マニアックな曲は可能な限りやめて、超有名曲中心に書こうかな、と、思っています。


 さて、こういう言い方をする場合は、ドヴォ先生の作品中でも、『ある』とても有名な『作品』を指して使われるわけですが、もともとは、8つのピアノ曲集の中の7曲めの作品でした。


 しかし、今日では、バイオリン曲として編曲されたもののほうが、恐らくよく知られているでしょうし、小学生にも良く知られた『クラシック音楽』の超有名曲です。


 僕がこの曲の演奏で、どきっとさせられたのは、まずイブリー・ギトリスさんの録音と、それから江藤俊哉さんが、妹さんと組んで録音したものであります。

 ギトリスさんのCDは、現在も比較的入手しやすいでしょうけれども、江藤さんの方はどうでしょうか?


 ぼくの手元にあるのは、昔のフォノシートです。


 だいたいこの曲の事を文章で書こうとすること自体が、ほとんど不可能という気がします。

 それこそ昔、「微笑みの中の涙」とか表現した方がいらっしゃった様な気がしますが、いまだに、この、どなた様かの表現以上の言葉も見つかりません。


 だいたい、まずもとの調性が『変ト長調』というちょっと怪しい(不思議な)調性。

 これは♭が6つ付くので、ぼくなどは、もう楽譜を読むのが、まず嫌になりそうです。(とはいえ、自分なりにコツはあるのですが・・・もっとも僕の楽器はフルートで、ピアノもヴァイオリンも弾けませんけれどね。おまけにフルート用の楽譜では、もっと吹きやすい、他所に移調されていることが多いです。♭6つのこの曲のフルート用の楽譜は、まだ見たことないです。)

 

 とっても平易な感じの良いメロディーで始まりますが、後半部は長調なのに、なぜか淡い哀しみを生み出す不可思議な旋律です。しかも、中間部を通って再度繰り返しになるところでは、さらにいっそうの哀愁を生み出すのであります。(そのように演奏者が仕組むということもありますが・・・)


 もっと問題なのは、その中間部です。


 ここは長調と短調の狭間を、行ったり来たりするうえに、激しさと柔和さが混在しているのです。編曲者の性格にもいくらか影響されるでしょうが、有名なのは、やはりクライスラーさんの編曲したバイオリンバージョンなのでしょう。さすがに、実に良い味、出してますよね。

 

 この曲を聴くと、この世の悩みも苦しみも、楽しみも、安らぎも、結局は同じところのものなのかなあ、という気に、なんとなくなります。

 例の『新世界交響曲』の第二楽章にも、同じような味があります。

 ちなみに、ですが、宮沢賢治様の『銀河鉄道の夜』は、そこのところを、実に深く、ある意味、彼独自の『宗教的な観想』にまで高めて、読み取っているのだと思います。


 ドヴォ先生は、アメリカで大変有名になりましたが、一方では、ホームシックでもあったとか。

 人間の気持ちというものは、概して一言で全て言ってしまうのは、まず無理だと僕は思っております。

「いまのご気分はいかが?」

 と、お医者様や上司様から聞かれても、『一言で端的に述べよ』なんて要求する方がちょっと無理なのです。


 「ドヴォ先生の『ユモレスク変ト長調』の気分です。」と答えた方が、よほど正確なのですが、これがまた、なかなか理解してもらいにくいらしいのは、これもまた、実際に困った事なのです。


 もっとも、ぼくにはあいにく絶対音感なんてないですから、ト長調でもハ長調でも、そう構いませんけれど、絶対音感のある方に言わせると、どうも「いやあ、絶対、許せない」んだそうです。

 つまり、ぼくなんかより、遥かに、難しいわけですよね。



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