フォトジェニック

作者 秋永真琴

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Good!

まず、とても丁寧な文章を書かれる方だな、というのが第一印象でした。
一人称の心の声、彼女の服装や動作、二人の交わす会話、出来事もしくはイベント、それに風景。
どれもあるべきところにある、と感じます。

個人的な話で恐縮ですが、全体としては彼女のどこかおっとりとした所作がとても微笑ましく、ほんわかとなりました。
またピンポイントとしては、夏の場面で彼女が足を止めたところの比喩が、ビシッと決まっており、おーっとなりました。
自分も、こんな比喩がひねり出せるよう、精進したいものです。

春夏秋冬。季節ごとに描かれる二人のやりとり。あの結末は一体どこから?
それを探すため、きっともう一度読み返したくなるんじゃないかと思います。

ほんわかせつないお話、ありがとうございました!

★★★ Excellent!!!

撮り手の感情が最大限に発揮された写真は、誰が見ても心を打つものだと聞いた事があります。
この作品は、目の前に写真が無くても、読み手の心にしっかりと訴えかける美しさが潜んでいます。
もっと文字数を多くした状態でも読んでみたい、という期待感がありますな☆

★★★ Excellent!!!

この物語を開くとき、是非静かな空間で、一人きりで読んでほしい。
きっと沢山の感情が次から次へと溢れてくると思うから。

洗練されていて、惹き付けられる文章の美しさ。

彼女を想う僕の気持ちに、痛いほど胸が締め付けられて。
人の心を覗くことはできないけれど、ファインダーを通して彼女が見ていた世界を垣間見たとき、涙が止まりませんでした。

是非多くの方に読んでいただきたい、素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

研ぎ澄まされた平易なことば。ことばの入射角の美しさ。巡り来る、そして二度と巡り来ぬ季節のまばゆい切り取り。後半にクライマックスをむかえる、底を突き上げる荒けずりな感情。読み手の、未解決のまま置いて来た何かが暴れ出さずにいられない。わたしのこころはおおきく揺さぶられました。

レンズを通したような描写で物語が教えてくれる、真にフォトジェニックなものとは。読み終えた瞬間、目眩する心地で、平衡を失いました。

★★ Very Good!!

章子というひとがとてもかわいい。
実際に近くにいたら、とてもかわいい、などとは言っていられないかもしれないけれど、先輩の目を通してみる章子はとてもかわいい。ある意味先輩の目というファインダー越しに、ひとりの女性を眺めている感覚。恋というフィルターがかかっているので、ただの困った人も、かわいらしい人に思えてしまう。
物語の語り手である先輩の恋人、章子は芸術肌で、全体的にとてもずれていて、変わっている。彼女が自己表現に選んだ道具は、カメラ。写真を通して、やっと世の中や人と関わることができる人なのかなぁ、と想像しました。

出会って、同じ部屋で過ごして、たくさんの齟齬を噛み砕きながら、のみこみながら、それでもふたりは別れてしまうのだけど。











最後に視界が切り替わって開けていく。ずっと章子に絞られていた焦点が切り替わる。章子の見ていたもの。景色。カメラの中に残っていた思い出。

残酷だけど、とても優しくて。冷たいのに、温かくて。胸の痛みが、うずきが、この上なく大切なものに思えた。

★★★ Excellent!!!

価値観の違い、と言ってしまえば俗っぽくて安っぽい。
いや、恋だの愛だの、結局は欲望ずくの我儘のぶつけ合いで、
どちらかの思い通りに沿うことなくしては成り立たないし、
ほかの何か大事なものと比べたら窮屈なだけなのかもしれない。

ファインダー越しに見付けた瞬間瞬間の感情を、写真に撮る。
それを何より愛する彼女。

撮りたい何かを見付け、カメラを構える彼女はひどく輝いている。
彼女と、彼女の撮る写真に惹かれる彼。

人生を歩くペースが違い、目に留めるものが違う。
大事な何かの優先順位が違い、恋人の想い方が違う。
好きな気持ちだけで恋ができるほど2人は幼くない。
恋と束縛の違いを示せるほどには彼は大人でもない。

恋が始まって、そっと寄り添って、やがて離れてしまう。
それを描いただけの短い物語が、とても胸に刺さった。

★★★ Excellent!!!

読みやすい文体でこの作品の世界観に入り込めました。芸術肌な彼女は彼のことを大事に思っていたからこそ、自分と一緒に居ても幸せになれないのだと感じたのだと思います。初恋って叶わないものだと、このお話を読んでて思い出しました。でも一緒に居られなくても、お互いにとって大切な人なんだと思います。素敵な作品をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

ある恋の始まりから終わりを、小細工なしに、丁寧に書いておられます(正確には、「小細工」と「細工」って違うんですけど)。
こういう終わり方って、必ずしも年齢ではなく大人もやっちゃいがちだと思うんですけど、切ないですね…人には事情があると知ると、だいぶ状況は変わると思うんですけど、愛する人を、自分以上に愛せたらいいんでしょうけれど、それが難しいし、愛し方そのものを間違えることもあるし、いや切ない。

★★★ Excellent!!!

どうしようもない業みたいな、生き方の違い
もしくはヤマアラシのジレンマ

相手のために相手に合わせようとすること自体が歪みをためていくようで
こういう結論に達するまでの期間限定の幸福

でもきっと彼女はこの記憶をずっと大切に抱えていくのだろうなぁ
彼の方はわかんないけど