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後日、
いくつかそれでは分からないところがあるが、芹沢家を相手にしてまで調べるほどのことではない。
芹沢雅と
ともかく、今回の事件では色々と世話になった。また何かの折には頼むかもしれない。篠塚桃花にもよろしくと伝えておいてくれ。
甲斐は手紙をしまう。一応、これでこの事件に対するすべての決着がついたのだろう。けれど、甲斐は思う。結局自分が、誰の手の平の上で踊っていたのか。
脅迫の犯人である、香川定吉の手の平か。
自らをナイフで刺し、甲斐や警察の力を借りて図書棟の秘密を暴こうとした芹沢雅の手の平か。
あるいは、それさえも可能性のうちに考え、甲斐を走らせた篠塚桃花の手の平の上だったのか。
そして、そのすべてをも含む上からの存在、ラプラスの悪魔が作り上げた緻密なからくりの、その手の平の上にいたのか。
甲斐には分からない。
量子論的には、次の瞬間に何が起きるかなんて、確率でしか分からない。今考えると、誰かの意思の中にいたのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。今から先を考えた時には、さまざまな可能性の中にあればいい。
あらためて、
この学園に転校してきてよかったと言える。
それに、
ここで新しい友達もできた。
それで満足だ。
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