熱血!フェアリーボール!13

 陸上でライオンと犬が戦えばどちらが勝つであろうか? 答えは間違いなくライオンが勝つであろう。しかし、それが水中であればどうであろうか? まだライオンが強いであろうが、勝負は分からなくなる。犬が泳ぎの訓練をしていたのならば尚更だ。

 あの日ムチャが考えついた作戦は、両者とも水中に飛び込む作戦だったのだ。

 まともに戦って勝てぬのならば、相手をまともじゃないフィールドに引きずり下ろせば良いのだ。テキムチームは見事に下りてきてくれた。


 テキムチームのマジッカー達は炎の魔法で氷を溶かそうとするが、足下が安定せずに集中できないうえに、マリーナやクリバーチームのマジッカー達が水魔法で妨害してくる。しかも中途半端に溶かされた氷はカチコチの氷よりもより滑りやすくなり、クリバーチームの機動力を上げ、テキムチームの行動を妨げた。


 しかし、そこはさすがの強豪校テキム学園チーム。中々得点こそはできぬものの、スルスルと滑りながら移動してくるクリバーチームのアタッカー達のシュートやパスを、転びながらも捨て身で止め続ける。

 そして試合は0対0のまま、ハーフタイムを迎えた。


 ベンチに戻って来た選手達を、ムチャとトロンはハイタッチで迎える。氷上で全力で動いているために、皆顔を赤くしてゼイゼイと息をしていたが、その顔には笑みが浮かんでいた。

 水魔法を使い過ぎて喉が渇いたのか、マリーナはベンチに飛び込むなり、マリーナ専用として用意された巨大な水樽に頭から顔を突っ込み、ガブガブと水を飲む。他の選手達も、魔力と体力の回復効果のある薬草茶を飲んで一息ついた。

「いける! いけるよみんな!」

 リャンピンの興奮した声に、選手達はグッと親指を立てる。リャンピンと同じように、彼らもいけそう感を感じていたのだ。

 後は先制点を奪い、ディフェンスに徹すればクリバー学園チームの勝利は目前である。


「リャンピン達は思っていたより頑張ってるな。ボコボコだと思ってたのに」

「頑張ってるねー、地味な試合だけど」

 顔中にペイントをされたレオとハリーノは、エスペリアとその取り巻き達に囲まれて気まずそうに試合を観戦していた。

「地味だなんて言わないでくださる? リャンピンさんが頑張って戦っているのだからもっと真剣に応援なさい」

 エスペリアはブツブツ言っているレオとハリーノを睨みつける。

「ていうかエスペリアさぁ、リャンピンと仲悪かっただろ? いつから仲直りしたんだよ?」

 レオの唐突な質問に、エスペリアは一瞬戸惑った。

 そして何かを思い出すと、その顔は怒りの形相に変わる。

「あなた方が覗きを働いた日からですわ……」

 その直後、レオの額には「変」ハリーノの額には「態」の文字がペイントされた。

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