ある朝の事
それは、ムチャとトロンが闘技場での三回戦を数日後に控えた日の朝の事である。
「ムチャ、起きて」
いつまでたっても起きてこないムチャの布団を、トロンはポムポムと叩いた。しかし、ムチャは布団を頭まですっぽり被ったまま微動だにしない。
「今日はネタの練習するんでしょ?」
トロンがこんもりと盛り上がった布団に問いかけたが、返事は無い。日はすでに高く昇っている。トロンはしびれを切らし、ムチャの布団を引っぺがした。
「うーん……」
そこには芋虫のように丸まっているムチャの姿があった。しかし、様子がどこかおかしい。顔がほんのりと赤く、呼吸がどこか苦しげである。
「ムチャ?」
トロンは丸まっているムチャの額に手を当てた。
「……熱い」
ムチャの額は熱を帯びており、僅かに汗が滲んでいる。
すると、ムチャは僅かに目を開けて、一言ポツリと呟いた。
「風邪だ」
トロンはコクリと頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます