第24話糠にイワシ

本日の一品:糠鰯と大根の煮物


糠漬けの鰯は焼いてほぐしておく。これは基本だしを取るための物であるから食べ終えた後の骨を焼いておくのでもよい。

糠鰯の身若しくは骨は水を張った鍋に入れて煮立たせて出汁を取る。

大根は短冊に刻み下茹でをしておく、別にしなくてそのままぶち込むのもあり。

出汁の中に大根を入れて火を通す。火が通ったら味を調え一度火からおろして冷ます。

食べるころにもう一度温めなおしておけば完成。別に煮えた所で食べても構わない。


これは純米酒か濁り酒で夜長の友としてつまもう。



本文


 ぬのつく魚が思い浮かばなかったからと糠漬けと言う加工品に逃げた私は本当に経験が薄いのです。なんといっても私はなんちゃって魚屋な物で・・・・・・・・


 魚の糠漬けと言うものは関東圏の諸君にはなじみが薄い物であろう。北陸圏だと年配者を中心に常食されているはずであるが若い物だと食されているのかは知らない。私自身も父親が食しているのに付き合って初めて知った食材である。糠漬けと言うのは意外と癖のある食材で小さい頃は臭くて辛くて食えなかったのだが、成長して酒を覚えるころとなると他の食材と合わせての調理に美味と感じるようになり、一升酒を超えるようになれば単品でも美味だと食べるようになるのである。

 そうなるとこれの美味不味が判るようになりただ糠を塗りつけておいただけの物が美味だと思えなくなってくるのであるから不思議だ。

 ある日糠さんまが入荷したのであるが糠を塗っただけで熟成の進んでいないものを見て鼻で笑ったら商品を笑うなと怒られる。糠を塗っただけの商品に糠漬け特有の美味がないではないかと反論するとその商品は下げられたのだが私自身も契約を・・・・・・・・・(お察しください)



 魚の糠漬けで有名なのは福井あたりで産する【へしこ】であろうか。よく地方色豊かな居酒屋などで珍味として出されるのだが、独特の魚臭さと塩味で注文した本人は美味美味と喰らうのであるが周りに苦手な者がいるとその人が顔をしかめているのがよくわかる。決して私が嫌がらせ代わりにそれを注文したりなんて・・・・・・・・・・するならば犬鍋を出す店とか蚕の串焼きを出す店とか山椒魚とか豚の金玉とか・・・・・・・・出したけど普通に食われてしまいあまり意味がなかったのは悲しい現実。普通においしい食材でしたけど。

 それはさておき、糠漬けの話に戻すとただ焼いて食べるだけではなく前書きに紹介したとおりに野菜を煮るときの出汁兼調味料として利用したりしても美味である。一風変わった所ではアンチョビの代わりにオイルベースのパスタを作るときに利用しても面白い。これを紹介しようかと思ったが、そんなオサレナものは私のキャラではないので伝統的な料理で誤魔化したのであるが。


 しかし魚の加工食品って臭味と言うか臭いが強い物が多いのかな?クサヤ然り塩辛もそうだし、魚醤の類も独特の臭いがあるし糠鰯なども・・・・・・・・・シュールストレミングも・・・・・・あれは生物兵器だろと突っ込みを入れたくなる。そういえばホンオフェは試したことがないけどどれだけ臭いのだろう?


 ああ、そうそう。糠漬けと言えばフグの子の糠漬けがあるけどあれ食わせようとすると毒殺するつもりかと白い目で見られるんだよね。どうしたものであろうか?美味なのに安全なのに。

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