第85話 協力者

「それでは、今日から彼女の捜索を行います」

全員にホワイトボードに貼られていた写真が配られる。


「二人一組で行動し、彼女に関係がある場所をまわってもらいます。目撃した場合、身の安全を第一に速やかに退避すること。また、この捜索には、『地域魔術師組合すこやか』さん達にもご協力頂いております」


大賀補佐はそう言いいながら、片手をあげる。

手には孔雀の羽を連想させるド派手な装飾が施されており、見る者を圧倒させる。


「なんですか地域魔術師組合って」

横に座る先輩に小声で訊く。


「善良な魔術師達による自衛団みたいなの、まあ会えば嫌でもわかるよ」


アンさんが「えー」と不満の声をあげるが、大賀補佐はその声を無視して、手に持っていた手紙を読み上げる。


「ええと、『我々はいつ如何なるときも、平和と共にある。安息を乱す悪しき者には無償の正義と愛の鉄槌を脳天に下だす。もし、この度の犯人を見つけた際は我々を呼んで頂きたい。すぐさま馳せ参じよう』」


文の続きを目で追い、大賀補佐はため息をつく。


「『今回の合言葉はUFOだぁ!!!』とのことです」


場が静まり返る。

私は状況を理解出来ず、先輩を見ると呆れて死んだ顔をしていたが、丁寧に教えてもらえた。


地域魔術師組合すこやかの方たちは、魔術師でありながら普段は街で普通に生活をしている人で、魔法関連の事件が起こった際などは素性を明かさない事を条件に協力してくれるらしい。


その素性を明かさない、という条件を手に持ったが為に芝居がかった言動や派手な衣装を身に纏って治安維持に助力をしてくれるとのこと。


ひょっとすると、そのような活動をすることで、持ち得る力を発散しているのかもしれない。


「それって、アレみたいですね。アメリカによくいる、、」


「そこから先は言うな」


先輩はやれやれと手帳をリュックにしまう。



「俺ら普通の人間は、魔法使い相手じゃ手も足もでないからな。誰かに助けてもらえないと、俺は死んじまう」




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