第74話 魔法少女クラブ
「魔法少女クラブですか」
報告をすると、大賀補佐は険しい顔をした。
「残党がいるとは聞いていましたが、もし彼女達の仕業だとすると、とても厄介ですね」
机に広げた地図でヒナミさんに教えてもらった秘密基地の場所を確認する。
「あ!その場所なら詳しいよ!」
アンさんが地図を覗き込んで、赤丸周辺をぐるりと指先で丸を描く。
「ここら一帯が工場地帯で、赤丸の所は大きな倉庫だね!」
「昔使っていた拠点の1つですか」
「まだ使っていた事にびっくり!」
「偵察をお願いしてもよろしいですか?」
アンさんは右手を上げ、敬礼のポーズをとる。
「戦う非常勤職員、出動します!」
「戦う必要はないわ。活動している痕跡を探して来てください。危険を感じたら直ぐに逃げること」
大賀補佐が私の肩にポンと手を置く。
「あなたも一緒に偵察して来てください」
「はい」
返事をすると、アンさんの口角が上がり、妖美な笑みで私を見つめている。
「そんじゃ! 行こっか!」
私の服を掴み、強引に引っ張る。
できれば二人きりで行きたくないが、上司の指示には逆らえない。
工場地帯まではある程度距離があるため、アンさんの車で行くことになった。
アンさんがキーのボタンを押すと、駐車されていたドイツ車が音を鳴らして、ライトが光る。
「あれが私の愛車です! 型は古いけどスピードも乗り心地も最高!」
助手席に座り、シートベルトを締めようとするが、付け方がわからず手間取っていると、運転席に乗ったアンさんが手ほどきをしてくれた。
普通の車のシートベルトとは違い、ハーネスのように全身がシートに固定される。嫌な予感しかしない。
革のグローブでハンドルの握り心地を確認すると、アンさんは意気揚々と言った。
「出発! 出発!!」
嫌な予感しかしなかったが、踏み込まれたアクセルで、予感が的中したことを悟った。
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