狂気に満ちた魔法使い編

第15話 同期

千葉ポートタワー、

それは千葉県民が500万人を達成した記念として、1983年に建設された、千葉港にあるランドタワーで、高さは125メートルほど、階数は4階建。


エレベータで展望台となっている最上階に昇る事ができ、そこからは東京湾や千葉都心を見渡せ、夜景は日本夜景遺産に選ばれている。



私は前々から不思議に思っていた。


何故、4階建?



無事に大学を卒業する事ができ、4月の初め、私はポートタワーのふもとに立っていた。


両手で握りしめた入庁式の案内には、確かにこの場所が記されている。


見上げると、ガラス張りの壁が太陽の光を反射させ、キラキラと輝いている。



高いなー。心の中で感心した。



「君も新入社員?」



右側から急に話しかけられたので、ビクッとしてしまった。


見ると、浅黒く日焼けをしたスーツ姿の男が私と同じようにポートタワーを見上げいた。



「高いよね。周りに何もない分、より一層高く感じる」



感心した様子で呟く彼は、白シャツとジーンズが1番似合うだろう。少なくとも、スーツを着こなせていない感じは、私に引けをとっていない。


「あなたも新入社員?」


「そうだよ。まだ、本当なのかわからないけど」


彼はこっちを向くと、力なく笑った。

私も同じように、力なく笑った。


「僕は今井 善。よろしく」


「私は井田戸 小夜。こちらこそよろしく」


「私は大森 凛。私からもよろしく」


いきなり後方から声がしたので、驚いて振り向くと、短く髪を切り揃えた女の子が立っていた。



「同期みたいだから、声かけちゃった」



女の子と思ってしまったが、彼女の言う同期であれば、おそらく同い年なのだが、165センチと女性の中ではやや高めな私から見て、小柄で可愛らしい子にはどうしても子と付けてしまう。


そして、彼女は小柄な体型に合わせた黒のスーツをビシッと着込み、左目に黒の眼帯を付けていた。


可愛らしい顔に不釣り合いに思ってしまう黒の眼帯には、何故か白字で「コスプレではありません」と書かれている。



「よろしくー、どうやら僕たちは同期みたいだね。ちょっと安心した」



今井君は安堵の溜息をついた。


「実は、一時間前には着いていて、時間になるまで誰か来ないか待ってたんだけど。今まで誰も来なかった」


「誰も?」

大森さんが驚いた顔をする。



「ひょっとして、同期って私たち3人?」



お互いに顔を見合わせ、それから目の前にたたずむポートタワーを見上げた。


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