第11話 ヤヴァい

キーンコーンカーンコーン


女先輩「お? もう下校時刻か……」

男「……」

女先輩「おーい、男くーん。男くーん? ……ていっ」ムニュ

男「どわっ⁉︎」ガタン

女先輩「集中し過ぎ。下校時刻だよ、帰ろう」

男「え。もうそんな時間ですか」

女先輩「窓の外真っ暗だよ。その話、そんなにお気に召したのかな?」

男「いやぁ……すげーっスわ。マジやばいです。もう、何ていうか、マジで激ヤバです」

女先輩「語彙力が脳味噌の溶けた女子高生みたいにになってるよ。それにしても……ふふ、まさかそんなに喜んでくれるとはね。段々君のツボが分かってきた気がするよ」

男「頭の中真っ白……うーむ、や、すごい……すごすぎる」

女先輩「……そこまで言われるとちょっとくすぐったいな。ほら、さっさと帰ろう。いつまでも残っていると、それこそ先生方に目を付けられてしまう」

男「あ、はい。……取り乱してしまいましたね。失礼しました」

女先輩「いいさ。それほど面白かったということだろう? 作家冥利につきるというものだよ」

男「はは。でもこれ、本当に本として出版できますよ……勿体無すぎますよ。この本、読者が俺だけだなんて」

女先輩「それでいいんだよ。君のために書いたんだからね」

男「へ?」

女先輩「さっ、お開きお開き! 続きは明日だ、さっさと帰ろう!」

男「あ、ちょっと待ってください、僕まだ支度できていないです!」

女先輩「はっはっは。ほーら、愛と死をみつめて〜!」

男「それはつかまえてごらんなさ〜いの原題です! ちょ、待ってくださーい! 」

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