反響する心音



小さい頃に父親から

愛情の代わりとして身体に残った火傷の跡

それは成長しても消える事はなくお母様は僕のこの火傷跡を見ると自分では分かってないだろうけども

とても悲しそうな顔をする

それがキュッと何かを締め付けるようで居心地が悪くお母様の為に見えないよう包帯を巻くようになった


それは癖になっているらしく

無意識に自分で包帯を定期的に巻いている

痛むわけでも傷口が開いてる訳でも無い

ただ、どこかで見たくなくて隠したいという気持ちがそうさせているのかもしれない


ある時いつものように

朝起きてベッドの上で手脚の包帯を巻き直して

今日何するかをぼーっと考えていると勢いよく僕の部屋のドアが開く


『ベル姉様、今日はお庭でお茶会ごっこを…』

小さな何も知らない妹には

刺激が強すぎたのかもしれない、僕も確かにシオンの視線が手脚に向いた時は心の中で“まずい”と思ってしまった


気持ち悪いと思ってるんだろうな

妹は僕へ近寄り手を取って火傷部分を撫で始める

『私が…』かすれた声と同時に僕の腕に冷たい水がポタポタと垂れ腕をつたいベッドへ染みていく

『私が、いつか、いつかベル姉様の傷を治せるくらい強くなりますから…だから、傍に居させて。』


この子は馬鹿だ

治る希望も無いものに涙を流し誓までたてる

僕なんかの事より自分の事を考えた方が利口なのにそれを知ってるはずなのに


シオンの頭に手を乗せ髪を撫でる

「ありがとう。」


自然と口から出た感謝の言葉


僕はこの子を守る義務がある

なにがあっても、この子だけわ


ーーお母様、僕は生きる意味を知る事が出来るかもしれないーー


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