第233話 ◆おらは死んじまっただ~

◆おらは死んじまっただ~


あーー せっかく買ったばかりの LEVORG GT がーーー  あの子はまだ3回しか乗ってないのに~


どうやら、ミキたちは死んでしまったらしい。


なぜかというと今、雲の上を歩いているからだ。


ミキは過去に1度死んでいる。 だからなんとなく雰囲気でそう感じているのだ。


陽子はというと、ミキの10mくらい後からゾンビのように歩いてついて来ている。


ミキが立ち止まると陽子もピタッと止まるので、二人の距離は縮まらない。


おかしいなあ・・ あの後の記憶がまったく無い。 それにどうして、女神の力が使えなかったんだろう?


そんで、ここはいったいどこだ?   天国とは違うみたいだしなぁ?


やはりキャサリンが絡んでいるならここは地獄なのだろうか。  でも前に地獄に行ったときとは周りの景色が全然違う。



ミキは復活の神なので、もし死んでいたとしても対処が可能なため今は落ち着いている。


それに人は生から死へ至るまでの間を恐れるのであって、死んでしまったらもう怖いものなしだ。


まあ、付け足すなら地獄に落ちるような行いをしなかった人間はである。



雲の上は歩きにくそうに思えるが、実は雲の種類によって多少違いがある。


雨雲は水分を多く含むため体が沈み込みやすく、一度沈むと足を引き抜くのに力がいる。


一方白い雲は比較的歩きやすいのだけれど、気を付けていないと厚みが薄いところがあるために、踏み抜く危険性がある。



そして、ミキはおっちょこちょいであった。


ボパスッ  いままで聞いたことの無い効果音を立てて雲の隙間から見事に落下した。


ギョッヘッヘーーーッ!  驚いたミキは、これまた聞いたことが無いような叫び声をあげた。


落下しながらも陽子はどうしたかと上空を見上げれば、なんと律義について来ている。



ただこのまま落下を続ければ二人とも地面に激突してしまう。


ダメ元で飛ぶことが出来るかイメージしてみれば、何とか飛ぶことは出来た。


キャーーアーーァァァーーー


だがその横を陽子がもの凄いスピードで落ちて行った。



たいへん 陽子さんを助けなくっちゃ!


ミキは大慌てですぐさま陽子の後を追いかけた。


そして地面まであと100mのところで、陽子をキャッチ。



ふ~ 何とか間に合ったー。  


ねえ、陽子さん大丈夫?


ミキちゃん・・ あたしもうダメだと思ったわ。 こんな事生まれて初めてよ。


陽子さんでもダメだと思う事があるなんて、まるで人間みたいだね。


えーー ひどい。 ミキちゃんってば、あたしのこといったい何だと思ってるのよー。




さて、2度の墜落の危機を何とか乗り越えたが、この時点でまだ何一つ状況が見えていない二人だった。



***


おらは死んじまっただ~は、ザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」の歌詞の一部です。

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