第142話 ◆ミキ、神様と不倫

◆ミキ、神様と不倫


『それじゃ、ストレートに言おう。 あの時、きみを助けるために、きみと契りを結んだ』

『契りを結んだ・・・ えっ、ええーーーーっ!  そ、そんな・・・』

『神族は、結婚に慎重だ。 神同士が結ばれて子供ができるとその子供も神になる。 だけど、どんな神様になるかは、お互いの属性が複雑に影響するんだ。 そして、子供は最初に契りを結んだ瞬間に、女神の体に宿る』

ミキは、思わず自分のお腹に手をあてて、しげしげとお腹を見つめる。


「ま、まさか・・・」

『きみは人間の夫がいるけど、僕もきみの夫なんだ』

『う、うそだ! そんなの・・・ 絶対にウソだよ・・・』

『残念ながら、もうきみのお腹の中には、僕達の子供がいる』

『・・・』

ミキの顔は、血の気が引いて真っ青になっている。


「お姉ちゃん。 気分が悪いの?」

アヤが心配して聞く。

「そ、そんな・・・」

「次の駅で降りよっか?」

アヤの声が遠くの方で聞こえているが、反応できない。

『僕がきみの周りに現れるのは、僕達の子供の事が心配だからだ。 子供が生まれたら、直ぐに天上界に連れて帰らなくてはならない。 それも掟だから・・・』

ミキの頭の中に、神様の声が響き続ける。

『神族の子供は、宿ってから7週間で生まれる。 だから後3日後に・・・』

・・・

・・


ミキが気付くと、そこは美奈子マネージャのクルマの中だった。

「あっ、気が付いた。 お姉ちゃん、大丈夫?」

「あ、あたし・・・」

ミキは後部座席に横に寝かされていたが、バッと起き上がり自分のお腹を撫でまわす。

「お姉ちゃん、お腹痛いの?」

ミキは自分のお腹が大きくなっていない事に安心する。

『このお腹で3日後に生まれるなんて事はないよ。 胎動だって感じないし。 きっと夢でも見てたんだ、あたし』

ミキは深呼吸をひとつすると、アヤに向かって言った。

「ううん。 大丈夫。 アヤ、心配かけてごめんね」


さて、作者にも制御不能になってきましたが、この後の展開をお楽しみに。


次回、「女神の誕生」へ続く

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