第127話 ◆神様からの請求書

◆神様からの請求書


さて、『神様からの重要なお知らせメール』のおかげで収録に間に合ったミキであったが、よくよく考えてみると腑に落ちない事が沢山あった。


まず、神様って誰なんだ? まさか本当に神様からメールが来るわけはあるまい。

でも、人間だとしたら、どうして踏切事故が事前に予知できたのだろう?

そして、ミキが当日あの電車に乗ることまで、どうして知り得たのだろう?


考えれば考える程、いろいろと不思議な事が思い浮かんでくる。

「でぇーーーーっ、 もうわけがわかんないよーーーっ」

案の定ミキは、考えることをやめた。 もともと、ミキはそういう性格なのだ。


ウ゛ゥ゛ッ ウ゛ゥ゛ッ

考えることをやめると宣言した途端、携帯が脇机の上でまたしても振動する。

「ははっ、 また神様からだったりして・・・」

独り言を言いながら携帯を開く。


「・・・何これ?」

ミキの携帯の液晶画面には、『神様からの請求書』と言う件名がハートマーク付きで表示されている。

しかもハートはゆらゆらと動いているヤツである。


本文を見ると、『今朝の情報提供により、あなたが得た利益の5%を以下の口座にお振込みください・・・あなたの良きパートナー 神様より』

「え、えっーーー 請求書?  これって・・・新手の何とか詐欺じゃないの?」

ミキが思わず呟いた途端。


ウ゛ゥ゛ッ ウ゛ゥ゛ッ

また、メールが着信した。

『これは、サギではございません。 もしお振込みいただけない場合は、あなたが先ほど得た幸運(利益)に相当する不幸が起き、相殺されることになります』

「げげっ、どっかで監視されてるのかっ?」

ミキは辺りをキョロキョロと見廻すが、監視カメラや盗聴器などは見当たらない。


「う~ん。 不幸が起きるのはやだしなぁ・・・利益の5%ねぇ・・・

 なんだか消費税みたいだけど、ギャラの5%ってこと?」


ミキは腕組みをしながら、考え始めたが。

「でぇーーーーっ、 わけがわかんねぇーーー!」

やっぱり、こうなる。

「しかたがない。 不幸は困るから、一応今回分だけ振り込んでおこうっと!」


ウ゛ゥ゛ッ ウ゛ゥ゛ッ

決心した途端、またメールが着信した。

「うわっ、またかよ!」

件名:『次回からのサービスのご案内』、本文:『先ほどの請求に関するお支払いが確認できた場合に限り、次回以降の情報提供サービスをご希望される場合は、本メールに対し空メールをご返信ください。 神様より』


「やっぱ、これって新ビジネスだよね? だったら迂闊に空メールなんか返信できないぞ!」

ミキは、どうやら少しずつは、成長してきているらしい。

果たして、神様の正体は?


次回、「ミキと神様」へ続く

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