第76話 ◆未来(ミク)と秀一

◆未来(ミク)と秀一


キキキーー

クルマは急ブレーキとともに、未来ミクの目の前で止まった。

そして中から二人の男が勢いよく飛び出してきた・・・

『もうダメ・・秀一・・逢えなくて・・ごめんね・・・』

未来ミクは、記憶保護用の安全装置を解除し、全てのデータを初期化した後、CPUなどのコア部分を残った電池で焼切るつもりだった。

自分の秀一との想い出や、今の気持ちを他人に呼び出されて見られるくらいならそうしようと決断したのだ。


『安全装置解除まで・・10・9・8・7・6・』

カウントダウンが始まる。

未来ミクは静かに目を瞑った。

『・5・4・3・』


「未来ーーーー!」

『秀一の声が聞こえる・・・?』

「しゅういち・・・しゅうーーーー!」

未来ミクは必死に叫んだ。

【ミク】は今、完全に未来ミクになっていた。

「ミクーーーーッ!」

「しゅーーーぅ!」

そう、クルマから飛び出してきたのは、秀一と鋭二だったのだ。


秀一は、未来ミクの体の中から常に発信されている、特殊な識別波を探知して場所を特定していたのだった。

まさしく、開発者のみしか知り得ないシークレット情報だった。

まるで映画の一シーンをスローモーションで見るように、秀一と未来は駆け寄って一つになった。

そして二人は、ほんとうの恋人のように強く強く抱きあった。

「未来・・・」

「しゅう・・逢いたかった・・」

「僕もだよ、未来」

「あぁ・・・やっと、やっと逢えた・・もう何があっても離さないでね」

「ああ・・あぁ。 もちろんだ!」

「しゅう」

秀一に抱かれた未来ミクのブルーの瞳からは、涙が次から次へと溢れだし、とまらない。

・・・

・・

昔、むかし、木彫りの人形・ピノキオは、女神さまに本物の人間の子どもにしてもらいました。

もしロボットにも心が生まれるのであれば、その膨大な記憶データーと人工知能のピュアなロジックによって人間にもなれるでしょう。

こうしてブルー・アイを持った、天使のようなロボット(未来)は、末永く秀一と暮らすことになったのでした。


「痛ーーーーーい! ちょっとぉ・・わたしは、まだ肋骨が折れたままだっちゅーのっ! 次回は、もう少しカッコイイ役をくれーーー!」

↑ミキ


美少女ロボット編は、もう少し続きますよ(笑)


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