第22話 ◆ミキ攻める
◆ミキ攻める
ポ~ン
エレベータが最上階に着き、ドアが開いた。
「こ、ここは・・・」
エレベータのドアが開き、わたしは思わず目をみはる・・・
なんと、ドアの外はいきなり屋上になっていて、目の前にはプライベートプールが青々と水をたたえていた。
そしてプールの脇を抜けた小道の先には、かわいいコテージが建っていたのだ。
「さぁ、ミキちゃん。 こっちだよ」
「ハ、ハイ・・・」
わたしは緊張のあまり、もう消え入りそうな声しかでなかった。
ガチャッ
コテージのドアが金色の鍵で開かれる。
「確かこっちがベッドルームだったと思ったけど・・・あっ、やっぱりそうだ。 こっちこっち。 ミキちゃん、ここのベッドで横になって休みなさい」
「ハイ・・・」
わたしは恥かしさと緊張の余り、ベッドに横になると直ぐに頭から布団をかぶってギュット目をつぶった。
ドキ ドキ ドキ
どどど・・・どーしよーーー
パタンッ
ふとん越しに、ドアがそっと閉まる音が聞こえた。
どうやら、わたしがベッドに寝たのを確認すると大沢さんは部屋から出って行ったようだ。
体中から緊張の汗がどっと溢れる。
「ふぅ~。 え~と。 こ、これからどうするんだったっけ? そ、そうだ。 夜になったら汗かいたからって、シャワーを浴びるんだっけ? はぁ~。 何か疲れがどっと出ちゃった」
わたしは、ふかふかのベッドに横になり、いつしかウトウトと眠りの世界に引き込まれていった。
・・・
・・
・
ガサガサッ
「う・・・うん・・」
あれっ?・・・誰かがわたしの服を脱がしてる・・・お、大沢さん・・・?
まだ完全に眠りから覚めていないため、頭がボ~ットしている。
「そ・・そこは、おへそ・・・ひゃう・・・冷たい」
あ゛~ 大沢さん。 い、いきなりなの~。 わたし、まだこころの準備ができてないよ~!
「う~ん。 別に熱もないし・・・特別悪いところは無いようですね。 しいて言うなら、少々過労気味というところですかね」
「そうですか。 良かった。 さっきは熱があって、急に気分が悪くなったようだったので往診をお願いしたのですが。 申し訳ありません」
「ははは・・・大沢さんのお父様には日頃からお世話になってますからね。 ご用のときは遠慮なさらずに言ってください」
「はぁ。 ありがとうございます」
あぁ・・・胸とお腹を触ってたのは、お医者さんだったのかぁ。
大沢さん、こんなに心配してくれて・・・なのにわたしって
「お・・・大沢さん・・・」
「おやっ、ミキちゃん目が覚めた?」
「う、うん」
「さっき、お医者さんが来たとき起こしたんだけど良く寝てたんで、そのまま診察してもらったんだ。 特に悪いところは無いってさ」
「あ・・・あの~」
なかなか切り出せず、少々焦る。
「あっ、そうそう、少々過労気味だって。 もうしばらく休んだら家に送っていくから。 お母さんも心配されてるだろうし」
・・・
「大沢さん、聞いて!」
「ミキちゃん。 どうしたの?」
「実は・・・」 わたしは今までのことを大沢さんに正直に話した。
今の自分の気持ちも・・・
「な、なんだって。 それ、ミキちゃん本当なの?」
「ご、ごめんなさい」
「参ったなぁ・・・。 ミキちゃんの気持ちは嬉しいんけど・・・」
「わたしが・・・元男だから?」
「いや、そういうワケじゃないよ。 だってミキちゃんは、まだ16歳だろ」
「お、女の子は16歳で結婚できます!」
「いや、そういうのではなくて。 ミキちゃんは、これから沢山の人と出会っていろいろな恋をする。 そういう経験の中で、自分が一番大切な人だと思った人を選べばいいと思う。 若いんだからそんなに焦らなくったっていいんじゃない」
「・・・わたしのこと嫌いなんですね?」
「嫌いじゃないよ。 だから好きとか嫌いとかじゃなくて・・・」
「良かった・・・わたしシャワー浴びてきます」
「ちょ、ちょっと。 ミキちゃん」
次回、「ミキの失恋?」へ続く
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