私とクイズ2


クイズです。


Q 夏といえば?


「さぁ、お答えを一斉いっせいにどうぞ!」


「そうめん!」


「焼きナス!」


「かき氷!」


むぎ!」


「アイス!」


むぎとそうめんがしかったですねぇ~。


失敗かぁ~。


もう一回!


アイスはねぇよ。


かき氷もないぞ。


「それでは、もう一度!」


Q 夏といえば?


「さぁ、もう1度お答えを一斉いっせいにどうぞ!」


蕎麦そば!」


「カレーうどん!」


むぎ!」


「パフェ!」


「アイスコーヒー!」


「水!」


残念!今度はそろいませんでしたねぇ~。


何でそうめん変えたんだ。


パフェもねぇよ。


誰だ水って言ったの。


「何だ?」


随分ずいぶんにぎやかだが?」


リビングに入って来たいかずちさんとこおりさんが、

側でウトウトしていたくもさんに声を掛けている。


その声に目が覚めた彼は、

のんびりと欠伸あくびをした後に、

私達がやっているクイズの理由を2人に説明した。


「あれは、今日の夕飯を決めてるんだよ~。」


「クイズがか?」


こおりさんが怪訝けげんな表情で聞き返すが、

くもさんはそのまま話を続ける。


「そう。

メニューが思いつかないから、

『夏といえば?』

って聞いて、答えが一致いっちした物を作るんだって~。」


「また、変な事を・・。」


いかずちさんがそう言ってため息をつくが、

こっちはいたって真剣である。


10回勝負と決めていたのだが、

すでに9回失敗しているので、

次がラストチャンスだ。


もし、10回で答えが合わなければ


「次がラストですよー。」


これで合わなければ、

今夜は白粥しろがゆですからね。


私の言葉に、

参加者が全員で円陣えんじんを組み、

相談を始めた。


・・ちなみに、

具体的な料理名を出して相談するのは、

ルール上禁止である。


クイズをやる以上は、

それぐらい真剣にしなければ!


彼奴あいつは勝負どころの無駄遣むだづかいをしているな。


こおりさんがそう突っ込むが、

私は気にせず相談する参加者達を見守っていた。


「どうする?」


「料理名出したらダメなんだよな?」


「『冷たいの』とか『白いの』だと、

そうめんとむぎで答えが別れるしな。」


ボソボソと相談する中、

おもさんが全員に向かって話し出す。


「俺に考えがある。

・・で、・・・・だ。」


おお!


それなら絶対いける!


話がまとまったらしく、

円陣えんじんかれた。


「それでは、最後の挑戦ちょうせんです!」


Q 夏といえば?


「さぁ、お答えを一斉いっせいにどうぞ!」


「いくぞ。」


「せーのっ!」


カレー!!


「おお!

見事みごと全員がそろいました!」


おめでとうございます!


よっしゃー!


イエーイ!


やったー!


参加者達が喜ぶ中、

私は疑問に思った事を聞く。


「どうやって合わせたんですか?」


すると、

少し自慢じまんげなおもさんが答えてくれた。


「料理名を出すのは禁止だった。

・・でも

『冷たいの』や『白いの』という抽象ちゅうしょう的な言葉だと、

其々それぞれのイメージで答えが違う。


だから、こう言った。」


茶色くて、

スパイスで具が煮込にこんである料理


「確かに、

調理法はダメとは言いませんでした。」


「だろう?」


私はそのまま参加者全員に見送られ、

本日の買い物当番であるせきさんと共に家を出た。




そんな訳で。


今日の我が家の夕飯は、

カレーとご飯とナンです。

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