夢の罠
「・・・・。」
またか。
今日は特に何も無く、
平和だった筈なんだけど。
本日も私は、
何かを夢の中に
招待してしまったらしい。
辺りは薄暗く、
全てがコンクリートで出来た
部屋だった。
「脱出ゲームかな?」
「そうらしいな。」
うわっ!!
「
「
・・驚かせないで下さい。
寿命が10年縮んだじゃないですか。」
「安心しろ。」
お前はそんなに
酷いっす。
「で、どうしてここへ?」
「騒がしいと思って来てみれば、
お前が
様子を見に来た。」
「手伝ってもらっていいですか?」
「
私は静かに、目を閉じる。
「・・。」
目つきを鋭くし、
不機嫌そうな表情で私が
辺りを見回した。
「・・下らん。」
そのまま閉じられた鉄格子に近づき
ガシャァァン!!
と音を立てて蹴り開けた。
(最初の謎だったのに。)
「鍵を探すだけの遊びになど、
割いてやる時間はない。無駄だ。」
そこで私はニヤリ、と不敵に笑う。
「精々、俺を楽しませる謎を考えるがいい。
良く出来た物だけは、付き合ってやろう。」
それだけ言うと、暗い通路を歩きだした。
扉や隠し部屋の壁は蹴り開け、
アイテムや日誌、手紙などは無視し、
私は先に進み続ける。
たまに謎を解かないと進めない場所もあったが、
「下らん。」
の一言で、さっさと正解を出して進んだ。
(あの謎、もう解けたんですか。
・・今度から、
脱出ゲームの謎解き手伝ってもらおうかなぁ?)
「自分で考えろ。
ただでさえ
酷いっす。
事実だ。
進み続けた私は、広い部屋に辿り着く。
(ここ、今までと違いますね。)
「最後の部屋だ。ここに気配が集まっている。」
部屋の中に気配が集まり、
中央に5体の黒いマネキンが姿を現した。
部屋の中に
『最後の謎。
ここに5人の人がいる。
この中に嘘つきが何人かいて、
どんな質問にも嘘で答える。
この中から全ての嘘つきを探せ。』
(あ、こういうのは得意です。)
任せて下さい!
と自信満々で私が言った時だった。
『正し、本人にその自覚はなく、
『自分は正直だ』
と勘違いしている為、
嘘を付く事に動揺を見せない。
それに、質問によっては
正しい事を答える。
質問は1人に対して1回のみ。
さぁ!嘘つきを全て探せ!』
と、無茶苦茶なルールが追加される。
(えぇっ!?そんなの無理だ!)
私が頭を抱えて困り果てていると、
私が顔を上げ、不敵に笑った。
「よかろう。
正し、質問は1回だけだ。
全員に対して1回だけする。
その代わり、その質問には必ず答えろ。
いいな。」
『・・いいだろう。』
辺りは重い沈黙に包まれる。
(1回って、大丈夫なんですか?)
「任せろ。俺に不可能は無い。」
自信に満ちた私は、
その表情のまま、5体のマネキンに向かって
大声で質問をした。
「『お前達は母親から生まれたか?』
さぁ、答えろ!」
この質問に対して帰ってきた答えは
「・・・・・・。」
5体分の沈黙だった。
「だろうな。・・嘘つきは全員だ。」
楽しそうに言った私の体が瞬時に消え、
気が付けば全てのマネキンを蹴り飛ばし、
壁にぶつけ粉々にしていた。
『な、なぜ・・わかった・・?』
1体のマネキンが
私はそれに対して両腕を組み、
見下した態度で言った。
「貴様らは、
『生まれに関しての質問』
にだけは嘘をつけない。
沈黙を選んだのは、
嘘も真実も言えないからだ。」
『ぐ・・っ!』
「答えを代わりに言ってやろうか?
・・正解は、『生まれていない』だ。」
『・・!』
驚いた気配を残し、
マネキンは私の蹴りで
完全に破壊される。
「もう少し、
手応えのある謎を考えると思ったんだがな。」
私は溜息を吐き、
マネキンの残骸に向かって吐き捨てた。
「下らん。時間の無駄だった。」
そこで、目が覚めた。
「・・疲れたから、もう少し寝よう。」
私は布団に潜り込み、
もう一度眠りにつく。
起きた後、
私は暇そうにしていた
謎解きが難しいと評判の
脱出ゲームを一緒にやった。
詰まった所も簡単に解かれ、
彼は
「落ち込むな。
これぐらい誰でも出来る。」
と、
・・難しすぎて投げ出す人を量産し、
それで有名なゲームだったんですが。
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